12.再会とそして彼の正体
会場に着いたのか、馬車がパタリと止まる
「リベルタ様、到着致しました。」
私はテレスさんにエスコートされながら馬車から降りる。
馬車から降りれば目の前には豪勢なお城が建っていた。
「では、パーティー会場までご案内いたします。」
「はい。」
案内されながらも、城の中の周りを見てみれば
豪華なお庭や植物園、噴水などもあった。
目を輝かせるのも束の間で
私は既に会場に入ろうとしていた。
テレスさんは私を案内した後、すぐに立ち去っていて
ここからは自分で会場に入らなければいけない。
(緊張するけど、もう行くしかないわ!)
私は腹を括り、会場に着く階段を下る。
「リベルタ・へスター公爵令嬢のご到着です!」
私が来たことを知った、人達は皆
階段を降りている私をジロリと見る。
(やだわ…見世物を見るような目で見ないで欲しいわ…)
沢山の人の視線を受けながらも階段を降りる。
私が来た途端、色々な人達はヒソヒソと喋る。
『あのお方が、リベルタ様?』
『綺麗なお方ね…』
『噂では、お悩み屋を開いて色々な人のお悩みを聞いて解決してるんですって!』
『そうなのね!今度話しを聞いてもらおうかしら?』
ヒソヒソと聞こえる私に対しての言葉。
どれも、陰口とかではなさそうで安心した。
どうやらここでは悪役令嬢という噂はないよう。
それから、私のことが気になる令嬢様たちがずらずらとやってきて1人ずつ対応していった。
「色々話をしてくださりありがとうございました!」
「いえいえ」
「今度、お茶会を開催するんです!リベルタ様も嫌でなければどうですか?」
「そちらが嫌でなければぜひ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「いえいえ!こちらこそ誘ってくださりありがとうございます」
最後の令嬢様の対応を終えると疲れが押し寄せてきた。
(ど、どこかで休憩…)
私はしばし、会場から離れようとした時だった。
「国王陛下御入来!」
それを聞いて離れようとしていた足を止め
入ってくる所を眺める。
ずらずらと会場にやって来た皇族のお方達。
前にいるのは、ジェラル帝国の皇帝
そして後ろには背が高く、クールな装いをしているお方が。皇太子でおそらく次期皇帝のお方。
そのお方の隣にいる人は…って
(え!?)
私は次期皇帝のお方の隣にいるもう一人の皇太子の方を見て
思わず、驚く。
何せ、銀色の髪に真っ赤な瞳を持っていて…
あの日お悩み屋に来て、悩みを打ち明けて
私が背中を押した後、お悩み屋によく遊びに来て
私が誘拐された時、助けに来てくれた
彼にそっくりだったから。
(まさかだけど、お悩み屋に来てくれた彼って
この国の皇太子だったの…!?)
確かに、私は彼は只者ではないと思っていた。
魔法を使って助けてくれたり、盗賊に対抗できる身体能力
皇族だったら、取得できるものと考えれば辻褄が合う。
「皆、集まってくれて嬉しく思う。今夜は楽しんでいってくれ。」
皇帝の言葉で皆拍手するけれど、彼の正体で頭がいっぱいでできていない私。
すると…
「…!」
(え?)
彼の方を見ていたばかりか、あちら側も気づいたようで
私をすごく見てから
にこりと笑う彼。
あの笑顔間違いなくお悩み屋に来ていた時に度々見せていた笑顔だった。
(もう…かんっっっぜんに彼だわ)
今日は、夜会に誘われたりドレスを送られたり
彼の正体がジェラル帝国の皇太子だと知ってしまうという
た手続きで驚きが起こる日のよう。
リベルタ(主人公)がとうとう少年の正体を知ります。