1話 謎多き魔王たち
私は世界統一政府所属の覚醒者だ。
私が覚醒者で一番最初に所属したみたいだ。
今日は私のランクを決めるために上に招集をかけられた。
まだ、ランクのシステムが決まっただけで使用されてなかった。
今日、私のランクを基準として決めると言う話だ。
まぁ、でも上からはとりあえずEランクにすると思うと言われている。
魔法は誕生したばかりの力だし、それ以外から考えれば間違ってはいないだろう。
一応剣は振れるし、魔法も使える。
使える魔法は風と覚醒者はみんな使える『身体強化』だ。
でも、魔法は使えると言ってもまだ戦闘に組み込めるレベルではない。
風魔法はせいぜい紙を舞い上げる程度だ。
でも、身体強化の方は使いやすい。自分が今までできなかった動きができるようになる。
つい、そうやって遊んでしまう。
そう考えているうちに、いつの間にか扉の前に着いていた。
扉をノックする
「あぁ…入ってきてくれ」
扉を開け、名乗る
「レオ•デュランです」
少しの間の後に本部長の話が始まった。
「前に言った通り君はEランクにするから」
私のランクは予定通り、Eランクに決まったみたいだ。
「あと、君の相棒になるやつを外に呼んであるから」
「相棒ですか?」
私は気になってつい聞いた。
「そうだ、少し剣を交えて実力を見てきて、ランクをどうするか決めてくれ」
「わかりました」
「そうだ、また呼ぶと思うからそれまでやっていてくれ」
私は考えずに咄嗟に答えた。
「では、それまでは剣を交えてきます」
そう言って部屋を後にした。
また呼ぶとは言われたけどまだ何かあるのかな?
相棒のランクに関しての話だけかな?
まぁ、とりあえず、相棒に会いにいってみるか。
私は木剣を2本持って、外に出た。
「こんにちは。レオ•デュランさんですか?」
ギルド本部から出てすぐに青年に話しかけられた。
「はい、レオ•デュランです」
「アラン•オベールです。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
軽く握手を交わして質問をする。
「アラン、君の魔法は何?」
「僕の魔法は火です」
火か、私の風よりは戦闘向けな気がする。
「ちなみに火の魔法はどれぐらい使える?」
軽く聞いた、でもアランは気まずそうな顔をした。
「えっと、火は出せます。でも、火力の調整ができないです…」
「そうかぁ、ちなみに身体強化の方は?」
「強化はあまりできないけど、使うことはできます」
「じゃあ、とりあえず身体強化ありで打ち合おう」
そう言って私は持ってきた木剣をアランに渡した。
「お互い様子見ってことで軽く行こう」
「はい」
緊張していたのか、声が裏返っていた。
打ち合いが始まった。
「とりあえず私は攻めるから、受け流すなり、反撃するなりしてみてくれ」
「はい、頑張ります」
そうして私は一気に距離を詰めて剣を振る。
“カンッ!"
アランは木剣で受けたが受け流しきれなかったみたいで少し吹っ飛んで地面に転がった。
「すまん、少し強くやりすぎた」
「大丈夫です。まだ、いけます」
アランがそう言ったので私は続けることにした。
「じゃあ、もう一度やろうか」
そうして打ち合いを続ける。
アランの成長は早かった。
何回か打ち合ううちにアランは私の攻撃を受け流す事ができるようになった。
ーーーレオとの対面、アラン視点
僕はギルドに『レオ・デュラン』と言う人の相棒につけてもらえることになった。
本部長からはその人と一緒に住むように言われてるから優しい人がいいな。
そう思いながら僕は指定された時間にギルド前で待っていた。
そこで木剣を2本持った人が出て来た。
僕は咄嗟にその人に話しかけた。
「こんにちは。レオ•デュランさんですか?」
その人は優しく対応してくれた。
「はい、レオ•デュランです」
僕も急いで名を名乗る。
「アラン•オベールです。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
レオさんは魔法のことで質問して来た。
正直、魔法は自信がなかった。
僕は自分の魔法のことを話した。
僕が言葉足らずだったのかレオさんは何も言わずに『身体強化』ありでの打ち合いをすることになった。
レオさんは強かった。
最初は目で追うのがやっとでギリギリのところで受けていた。
それでも僕が途中から受け流せるようになったら成長速度が早いと褒めてくれた。
だから、僕はこの人のようになりたくて、この瞬間を本気で取り組んだ。
ーーー打ち合い後、レオ視点
そうして、しばらく打ち合った。
「はぁはぁ、もう一度…お願いします」
体力はあまりないらしい。
「アラン、一旦休もう」
「はっ…はい」
休憩をしようとしたところにちょうど人が呼びにきた。
「デュランさん、本部長がお呼びです」
そういえばまた呼ぶって言ってたな。
「わかりました。すぐ行きます」
「あっ僕も行きます」
休憩はほとんど取れていなかった。
でも、アランの呼吸は整っていた。
「行くぞ、アラン」
「はいっ」
私はアランを連れて行くことにした。
「本部長、デュランさんを連れて参りました」
「入ってくれ」
部屋に入った。人が本部長以外に6人いた。
その全員が世界統一政府の方達だ。
「レオ、アランはどうだ」
本部長が投げかけてきた。どうだとはランクのことだろう。
「アランの実力ではまだFランクです。でも、成長速度は目を見張るものがありました」
私は簡潔に答えた。
「そうか、アランは文句はないな」
アランは緊張しながらも返事をした。
「はいっ、正当な評価だと思います」
本部長が軽く頷いた。
「じゃあ、次の話を始めるか」
次の話?あれ以外の話があったのか。
そうして1人の男が話し始めた。
「それではこれから我々世界統一政府が急ぎで調査していた『魔王』に関する報告を始めさせていただきます」
魔王のことを調査していたのか?いや、当然か。
どんな情報があるんだ?
「まず魔王は7人確認できています。その全員に使者を送ったと言う話とその結果もご存知かと」
使者は確か皆殺しにされたって話だ。
「世間では使者を皆殺しにされたと言われてますが実際は1人だけ生かされました」
1人だけ生かされたのか。でも、皆殺しと大差はないだろう。
「7人の魔王はそれぞれ生かした1人に対して変わった世界について話をしたそうです」
変わった世界の話か、魔王たちは何を知っているんだ?
「今から我々が調査した情報と使者たちが魔王たちから聞いたことをまとめた話をします」
「まずは魔王たちが使者に名乗った名前とそれぞれの拠点から話します」
「調査書があるのでそれを見ながら話していきます」
調査書を受け取った。魔王名と拠点だけが書かれた1枚の紙だけだった。
「調査書はこれだけですか?」
私はつい聞いた。
「まとめられているのはこれだけです。それ以外の情報は今回は口頭だけになります」
「わかりました」
「今日話した情報は後日まとめてお渡しします」
「では最初は調査書から話していきます」
全員は調査書に目を通しながら話を聞いた。
『調査書』
魔王名 拠点
憤怒の魔王 日本、青木ヶ原樹海
傲慢の魔王 アメリカ、ミシガン州
暴食の魔王 イギリス、マン島
怠惰の魔王 ロシア、ビルランガ山脈
強欲の魔王 中国、海南島
色欲の魔王 イタリア、シチリア島
嫉妬の魔王 インド、ヒマラヤ山脈
「以上がこの調査書の内容になります」
書いてあることを話すだけでそれ以上の情報はなかった。
7つの大罪の名を冠した魔王とその拠点のみだ。
拠点がある場所は全て、災厄のあった国だ。
そして、私はこの日初めて『魔王』の名を聞いた。
「続いては、使者が魔王たちから聞いた話を共有します」
調査書の話が終わり、次の話が始まった。
「話をした魔王は憤怒の魔王と傲慢の魔王です」
「2人の魔王以外はまともな会話が成り立たなかったそうです」
会話が成り立つ魔王が存在するのか。
それならいつか話をしてみたいな。
そう考えている間にも話が続く。
「まずは傲慢の魔王の話からです」
「傲慢曰く、魔王は概念だそうです」
魔王は概念?どういう意味だ。
「使者がどういう意味かを尋ねても、いずれ話すと言われ、話はうやむやになったそうです」
いずれ?その時があるということか?
「続いて、憤怒の魔王との話をさせていただきます」
今考えてもわからないから…まぁ、次の話を聞くか。
「憤怒曰く、魔王は死から生まれたそうです」
死?7つの災厄か。
「使者が7つの災厄のことかと聞いたら、『そうだ』と一言返ってきたそうです」
やはり、そうか。
でも、どうして生まれたんだ?
「使者はまだ話を聞こうとしたそうですが、憤怒は『今はここまでだ』といい話が終わったそうです」
こっちもまだ続きがあるのか?
考える事が多すぎる。
「話は以上です」
「えっ、これ以上の情報はないのですか?」
つい、言ってしまった。
「申し訳ありませんが魔王との会話はこれだけです」
「一様、魔王との会話ではないですが残りの5人は使者に対して一言だけ言葉を残したそうです」
会話以外の情報はあるのか。
残りの5人の魔王の言葉はそれぞれこうだった。
色欲の魔王「死は新たな生をうむ」
強欲の魔王「人の欲は世界を変える」
暴食の魔王「世界の意思は絶対」
嫉妬の魔王「世界は勇者を求める」
怠惰の魔王「世界を受け入れよ」
一つ一つはその言葉の意味しか持たない。
でも、7人の魔王の言葉はどこか繋がる。
だが、意味がわからない。
足りない情報が多すぎる。
そう考えているうちに会議が終わった。
「これで、会議を終わりだ。最後に何か言いたいやつ入るか」
誰も答えなかった。
重たい沈黙の中、何人かが視線を交わし合っているのが見えた。
その視線に、言葉にはならない思いが込められているのを感じた。
皆、言いたいことはあるのだろう。
でも、誰も何も言えなかった。
そのままアランと共に部屋を退出した。
外は日が沈み始めていた。
私は何も言わずに自分の家に帰ることにした。
アランも何も言わなかった。
家に帰る間ずっと考えた。
魔王がその言葉を語った意味を。
でも、何も思い浮かばずに家に着いてしまった。
ふと、隣を見るとアランがいた。
「アラン、君はどこに住んでるんだ」
「あの、レオさん聞いてないんですか?」
「えっ、なんのことだ」
お互いに見つめ合って驚いていた。
そしたらアランが話し出した。
「えっと、本部長が今日からレオさんと一緒に暮らすようにと」
本部長からそんな話は聞いてなかった。
まぁ、今更文句は言えない。
「そうだったのか」
「はい!」
「とりあえず、家に入ろっか」
そうして2人で家に入った。
家に着いてすぐに飯にすることにした。
互いに一人暮らしの経験があったみたいで2人で簡単に作った。
食事中、アランと今日の会議の話をする。
「アラン、それぞれの魔王の言葉の意味はどう考える」
アランは少し考えてから答えた。
「魔王たちの言葉は繋がっていると思います」
「やっぱりそう思ったか!」
つい、同意見だったために声がデカくなった。
「はい!」
アランは驚いて返事をした。
「驚かせて悪かった」
「いえ、大丈夫です」
「ちなみに、繋がってるとして意味はどうなると思う」
「まず、強欲の『人の欲は世界を変える』は変わった今の世界のことを指すと思います」
「なるほど、変わった世界は人の欲の影響ってことになるのか?」
「それは僕にはわかりません」
それはそうか。話を元に戻さないと。
「他の魔王の言葉はどうだ」
「傲慢、憤怒、色欲の言葉は繋がっていると思います」
「そうか!色欲の『死は新たな生をうむ』は魔王のことを指すのか」
「そうだと思います」
「そうすると、憤怒の『魔王は死から生まれた』も繋がるな」
「僕もそう考えてます」
でも、傲慢の『魔王は概念』はどう繋がるんだ?
私が悩んでいる顔をしているのかアランはすぐに話してくれた。
「傲慢の『魔王は概念』は魔王は命のある生命体ではないという意味だと考えてます」
「まぁ、そう考えるしかないか」
「そうですね」
「残りの3人はどう繋がるんだ」
「怠惰、暴食、嫉妬は暴食の『世界の意思』という言葉が重要だと思います」
「世界の意思…?」
「自分なりの解釈が入りますが『世界の意思が勇者を求めているからそれに従い勇者となれ』という意味だと思います」
「それだとなぜ魔王がその言葉を伝えるんだ?」
「確かに、それを考えるとわからなくなりますね」
「とりあえず、話ばかりしてないでさっさと飯食って、寝るとするか」
そうして今日という1日が終わった。