第90話 謁見の間の死闘 その5~サソリババアの垂れたおっぱいを挟みたくない!~
「何はともあれ、まずは鉄壁を誇る奴の防御を突破しないことには始まらんぞ。ま、我の最大級の爆裂魔法を使えばその程度のことなど造作もないのだが、それだとおそらくこの辺り一帯は焦土と化し、壊滅的打撃を被るぞ。それでもよければ一つやってみるか?」
【やめてくださいよ! 全員殺す気ですか!?】
「だから我もそんなバカな真似はしたくないのだ。エレガントではないしな」
【はぁ……しかしそんな凄い魔法が使えるのであれば、何故囚われの身に甘んじているんですか?早いところ政権奪還に動いた方がいいんじゃありませんか?」
僕は以前から気になっていた疑問を、ここぞとばかりに魔王にぶつけてみた。その気になれば、彼女の実力ならば、たとえ正規軍百人が相手でも打ち倒せるだろう……多分。
「あのカヌマのやつさえいなければ、今すぐにでも特攻してやるわ! 正直あいつは我と相性最悪なんだよ、魔法を封じやがるし……昔からあいつに悪戯しようとして呪文を唱えても速攻で無効化されたわ!」
【そんな悪いことしてたんですか……ところでカヌマってサソリ婆さんのあの垂れ乳は以前からですか?】
「ああ、我が産まれる前からああだそうだ。しかしムネスケよ、そんなにアレが揉みたいのか? とっても板で挟みやすそうだしな」
【一言も言ってねえ!】
「ハハハ、冗談だ。ついでに教えるとあいつは性格がねじくれ曲がっていて、我に対して妙に敵対心を抱いている様子だったんだよ。まさか寝首をかかれるとは思いもしなかったが……ああ、王の証たる宝玉さえあれば、あやつの能力なんぞ何するものぞなんだがなあ……」
魔王は遠い目をしながら嘆息する。そういえば以前、聞いたような気が……
【そんなに凄いんですか、その伝説のお宝とやらは?】
「ああ、身につけた者の魔力を爆発的に増強し、大いなる力を与えてくれる。但し、王家の血を引く者に限られるがな。だからあのクソババアには無価値だ」
なるほど、持ち主が王と崇め奉られるわけだ。同時に失うと権威が失墜する理由も理解できる。
【そんなチートアイテムを簡単に奪われるなんて……】
「仕方がないだろう! あの日も沢山召喚して、ほぼ徹夜だったんだ!」
【全く成長していない……ダメだこりゃ】
僕は段々とこいつを見限りたくなってきたが、おっぱいのため我慢した。おっぱいおっぱい!




