第62話 修練場の戦い その17〜おっぱいに雑巾はマニアック過ぎる!乳暖簾!〜
「こんな大失態を演じて大変失礼しました。では、立会人の名において今から判定いたします」
ミレーナの声に本来の覇気が戻り、修練場に朗々と響く。遂に運命の時が来た。一同は居住まいを正して沙汰を待った。
「というわけで、両選手とも意識を失ったままで目覚める気配がありませんので、この勝負、引き分けと致します! 各々方、よろしいですね?」
【はぁ……】
思わず吐息が零れた。自分的には負けやドローだと魔王のおっぱいが揉めなくなるので、本音を言えばそれこそ発作が起こりそうなほど辛かったが、この場で彼女らを言いくるめられる勝算もないし、とっとと終わらせたいのも事実なので、涙を呑んで止む無くうなずいた。
「やれやれ、仕方がないガオ。まぁ、これでやっと寝坊助を起こせるガオ。リプル、とっとと目覚めるガオ!」
メディットは黒手袋を嵌めた右手を振り上げ、ビビビビビと某不潔妖怪張りの容赦ないビンタをリプルに浴びせかけた。どうやら内心では怒っているようだ。
「痛たたたたたたたっ!」
やっと目覚めた眠り姫ならぬ眠り人魚姫は乱暴狼藉にすわ敵襲かと勘違いした様子で、例のゴンズイ針を至近距離からメディットに発射した。南無。
「うがあああああガオーっ! 目がガオーっ!」
メディットは当然のごとく顔面を両手で押さえて転げ回り、何とも情けない姿を曝しまくった。悪いけど同じ軍師とは思えない……。
「ハハハ、あんな馬鹿な起こし方をするからだ、メディットのやつ。しかし悪かったなムネスケよ、相打ちだったせいで我のおっぱいを揉ませてやることが出来なくて。だがそなたはよく頑張ったぞ。戦闘前に考案した斬新な数々の奇策、短時間で考えたにしては大したものだった」
一足先にミレーナに優しく目覚めさせてもらった魔王が、胸に雑巾を引っ掻けたままの狭い性癖で人気がありそうな際どい姿で僕に労いの言葉をかけた。
【いえ、魔王が僕の指示通りちゃんと戦ってくれたからですよ。とりあえず、揉めないのはひとまず置いておくとして、勝利の美酒を味わわせてあげられなくて誠に申し訳ありませんでした。まだまだ力不足だと痛感しています】
僕は正直に自分の非を認めた。




