第59話 修練場の戦い その14〜おっぱい四天王たちのそれぞれの事情1〜
「あいつは変わり者の多いマンドレイクの中でもずば抜けていて、仲間たちからも孤立していたけど、並外れた力を持っているため魔王様のために役立てたいと、マンドレイクを研究していたボクに頼み込んできたんだガオ」
【へーっ、結構面倒見が良いんですね、メディットさん。胸だけじゃなくて心も大きいんですね】
「『胸だけじゃなくて』は余計だガオ! もっとも魔王軍幹部は常に人材不足だから来る者は拒まずがモットーガオ」
今まさに紫色のワンピースを羽織ってスイカみたいに大きな胸を隠しつつあるメディットは、聞き捨てならない発言をぶちかました。
【えっ、魔王軍ってそんなに人気無いんですか?】
「別にそんなことはないガオ。お給金も待遇も良いし、一般兵になりたい者はしょっちゅう来るガオ。ただし魔王様は、その……言いにくいことなんだけど、『呪われた子』なんて予言されていたため、あまり積極的に側近になろうという者はいなかったんだガオ。この国の連中は皆迷信で凝り固まった連中ばっかで嫌になるガオ」
メディットは綺麗な額にしわを寄せて吐き出すようにつぶやいた。さすが科学者、じゃなかった錬金術師なだけはある。
【なるほど……でも、じゃあ魔王軍四天王の皆さんはどうして幹部になったんですか?】
僕は少し食い気味にメディットに尋ねた。今までの経験で魔王に情が湧いてきて、興味を抱いたためかもしれない。
「ま、それぞれ事情は異なるガオ。例えばそこのミレーナは、昔から魔王様の遊び相手兼格闘の師匠だったから、自ら望んで幹部になった忠義者ガオ。だから一応四天王のリーダーを務めているガオ」
やっと服を着て巨大ブラを隠したメディットは、現在絶賛ボンクラーズ状態の立会人を顎で示した。確かに幼少期から魔王のことをよく知っている彼女であれば、側で支えてやろうと思うのは当然かもしれない。
【メディットさんの場合はどうなんですか? 迷信なんか恐れていないってのはわかってますけど】
僕の言葉に彼女はやや考え込むような表情をし、答えが返ってくるまでに少々間があった。
「……ボクは、その、ちょっと言いづらいけど、死刑になるところを魔王に救われたんだガオ」
【はあ!? 一体何やらかしたんだあんた!?】
僕の突っ込みに美しきスフィンクスは苦笑いを浮かべた。直感だが、おそらく母乳関係と見た。




