第58話 修練場の戦い その13〜少年漫画でおっぱいの先っちょが光るのには訳があった!〜
「でも何故魔王の乳首のあたりは白い靄で隠されているんですか? 教育的配慮ってやつですか?」
魔王の胸元にそこら辺に落ちていた雑巾を投げかけている(ひでえ)メディットに、僕は尋ねてみた。
「ああ、これは多分魔王様の魔力が乳首から漏れ出て白く光っているんだガオ。ボクらの魔力の源はなんていったっておっぱいなんだガオ! 母乳みたいで非常に良いガオ!」
【ああ、そういえば最初にそんな設定言ってましたっけ……】
僕はだいぶ正気に戻って来たメディット(やや怪しげな点はあるが)と時ならぬおっぱい談義に興じながら(しかしこんなんばっかだな)、よく少年漫画の入浴シーンとかで裸の女性のおっぱいの先っちょが光るのもこういう原理なのかと勝手に脳内考察していた。ってそんなことやってる場合じゃなかったわ! ファック!
【で、結果的にどういう勝敗になるんですか、これ?】
「それボクもさっき聞いたガオ! このままじゃらちがあかないガオ! ミレーナ、とっととジャッジするガオ!」
「ク……またしてもリプルの攻撃にしてやられるとは……殺せ……」
今まさに必要とされている肝心の立会人は、相変わらず下着姿のままで床にしゃがみ込んだまま、何やらブツブツ呟いている。メディットの呼び声も耳に入っていない様子で、どんよりとした胡乱な顔つきをしている。
「ダメガオ、こりゃ使い物にならないガオ。いっそ参謀同士のじゃんけん勝負で決めるガオ?」
【僕は手がありませんしそもそも意味不明ですよ! それよりも確かもう一人四天王の方がいたはずですが……】
そういえばあのホラーチックな容姿の黒髪の女性はどうなったかと視線を飛ばすと、何とさっきまで彼女がいた場所には再び鉄製のごとく黒々とした巨大松ぼっくりが何事もなかったかのように泰然自若として居座っていた。
「チッ、モーラスのやつ、せっかく殻から出てきたのに、また引きこもってしまったガオ。せっかくこのボクが魔王様に紹介してやったっていうのに……」
【えっ、そうだったんですか!?】
何とも意外な情報だ。てっきり魔王がどこぞの巨大な松林で拾ってきたのかと思っていた。




