第57話 修練場の戦い その12〜おっぱい丸出しの魔王をもっとじっくり見ていたい!〜
動物は基本的に相手の眼を気にし、警戒したり頭部の位置と判断したりし、時に恐れる。近年の実験ではアフリカで家畜の牛の尻に目玉様の模様を描いたところ、ライオンに襲われる被害が激減したという嘘のような本当の話がある。畑の鳥避けにも大きな目玉様の物はよく見られる。
また、蝶や魚、そして一部の動物には、羽根や身体に同心円状の黒と白の二重丸、つまり目玉模様を持つものがおり、この模様を眼状紋または眼状斑と呼ぶ。これは擬態の一種であり、天敵の鳥や魚などを威嚇したり、頭部の位置を勘違いさせるのに役立っていると言われる。
僕は鳥と魚の合いの子のようなモンスターのセイレーンにも、ひょっとしたらこの効果が通用するのではないかと閃き(何しろ鳥頭だし)、念のため魔王におっぱいに松明の煤を利用して二つの目玉を速攻で描くよう指示したのだ。思惑に反してブラの隙間に手を突っ込んでやったのでおっぱいを拝めなかったのが残念だが。
「ひいいいいいーっ!」
リプルはまるでアクションゲームのキャラみたいにすごい速さで後ずさる。例の勇気を鼓舞する歌の威力がちょうど切れかかった時に魔王がキャストオフしたのもタイミング的にバッチリだったのだろう。お陰で反動が来て、予想以上に作用して恐慌状態に陥ったのだ。
「抱けえええええええーっ!」
「せせせせせ性的に喰われるーっ!」
なんたらジジイのように妄言を垂れ流しながらおっぱい丸出しで吶喊してくる恐怖の魔王と、連続バックステップで逃げ回るセイレーンのこれなんてキャットファイト的な阿鼻叫喚の桃色鬼ごっこはしばらく続いたが、壁際にリプルが追い詰められて遂に決着がついた。逃げ道を探そうとしてリプルの突き出した頭と追撃する魔王の頭とが、盛大に激突したのだ。
「「うがああああああーっ!」」
二人は聞いている方が脳天がかち割れそうなほどの悲鳴を上げた後、共にドウッと後ろ向きにひっくり返った。お互いに白目を剥いたままびくともしない。
「こ、これは……一体どういうことになるガオ!?」
【さあ……とりあえず魔王のおっぱいはしまった方がいいと思うけど……いや、炭が塗られているから別にこのままでいいのか?】
「そんなわけにいかないガオ! 風邪引くガオ! このドスケベ白箱!」
【そ、それもそうですね……】
おっぱいを出来るだけ鑑賞していたかった僕は、完全に下心を見透かされていたことに気づいた。




