第50話 修練場の戦い その5〜やっぱり魔王のおっぱいを揉んでみたい!〜
「おお、そうであった! そなたの悪魔的頭脳の冴えの加護を忘れておったわ! では行ってくるぞムネスケ! 我が勇姿をそこで茶でも飲みながら観戦しているが良い! そして我のおっぱい揉み揉みの吉報を待て!」
【お茶なんて飲んだら故障しそうだからいりませんけど、期待しています!】
純白のマントを一気に脱ぎ捨てると、リングへと向かうプロレスラーのように片手を天井に突きつけ前に進み出る。可能ならば入場曲でもかけてやりたくなるほどの勇ましさだ。
「おお、随分とやる気になったガオ、魔王様! だがこっちも負けていられないガオ!やれ、リプル!」
「はい! 死ぬ気で頑張ります!」
対するリプルも瞳に炎を爛々と燃やし、魚足のトゲをOLがハイヒールの踵を突き立てるようにカンカンと石の床に叩きつけながら歩み寄る。僕は心なしか緊張してきた。
「よろしいですね。では今から魔王様とリプルとの戦闘訓練を開始致します。相手に『参った』と言わせるか、相手を戦闘不能にした方が勝ちです。では、お互いに正々堂々と戦ってください」
「おう!」
「はい!」
台詞は違えど両名の熱い返事が修練場の石壁を揺らさんばかりに響き渡る。2人は3メートルほどの距離を取ってにらみ合った。始まりのゴングは無いけれど、とにかくもいよいよ試合開始だ。
「リプル、サクッとやっちまうガオ!」
「はい! わかってますよ!」
普段とは180度性格の異なるリプルがいつもの面映ゆい顔など一つも見せず、積極的に打って出る。彼女は両足を形成する魚の頭のトゲを予告もなしに発射してきた。
【魔王様!】
「わかっとるわ!」
彼女は放物線を描いて襲い来る針のようなトゲを素早い動きで難なくかわす。だがトゲは無数に生えてくる様子で、次々と打ち出され、雨あられと魔王に降り注いだ。
「フン、この程度かリプル!?これくらいの速度の攻撃なんぞ目をつぶってもこれこの通りよ!」
しかし魔王もさる者、余裕を持ってひょいひょいと踊るように機関銃の一斉掃射のごときトゲの群れを避け、あまつさえ相手を挑発するほどだった。
「さすが魔王様、やりますね。このゴンズイ針を物ともしないとは……だが、これではどうですか!?」
対するリプルの方も動じた様子を見せず、謎の微笑を浮かべた。




