第5話 爆乳ダークエルフのおっぱいを揉みたい!
【すみませんが、次はその棒のようなものをそこに差し込んでもらえますか?】
「うむ、こうすれば良いか?」
【はい、バッチリです!】
僕は魔王の力を借りて外付け式のディスプレイを本体にアームを通じて取り付けてもらった。メイドさんは、「魔王様御自らの手を煩わせるなどとんでもない! 私がやります!」って息巻いていたが、「下着姿のくせに何言ってんだ。いいからとっとと乳を出す用意でもしておれ」と一蹴され、すごすごと引き下がった。どうやらシステムの起動やアームの回転などの動作は他人の手を借りずとも自分の意思で出来るようだ。非常に不思議だが、便利なので良しとする。
「おーい、もう準備はいいか?」
【はい! いつでもOKです!】
「よしよし、ミレーナ、全速力でこっちに来い! で、どうやっておっぱいを挟むんだ?」
魔王様は恥じらう部下のあられもない姿にワクワクを隠せないご様子だ。
【実は挾み方には内外斜位方向撮影と頭尾方向撮影の2通りありまして、前者をMLO、後者をCCとも呼びます。前者は腋窩から内側下方に伸びる方向を軸とし、後者は水平方向を軸としておっぱいを圧迫します】
「うむ、悪いが何を言っているのかさっぱりわからないぞ!」
【そんな自信たっぷりに開き直られても……要するにMLOは脇の下とヘソあたりを結んだ線、CCは両乳首を結んだ線に沿っておっぱいを板で挟みます。因みにそれぞれ一つのおっぱいにつき1回ずつ撮影するので、計4枚撮ることになりますってこれで良いですか?】
「うむ、最初からそう言えば良いのだ」
【……】
僕は内心ため息をつきながらも、Cアームを斜めに動かし、ミレーナに右の乳房を板に押し当てるよう指示した。
「で、では、改めてよろしくお願いします……くっ、殺せ……!」
あからさまに嫌そうな表情を隠しもせず、彼女は褐色の柔肌を尖った耳の先端まで赤く染め、大きなブラに包まれた、両手に余るほどの巨大な2つの膨らみを、こちらにズイっと差し出した。僕は無言でただただ圧倒される。いよいよその時が来たのだ。この異世界での初仕事の時が……!
「何を姫騎士みたいなこと言ってるんだ? いいから早くしろ。ちゃんと見ていてやるからな」
踏ん反り返った魔王が哀れな生贄の子羊の背後に仁王立ちになる。退路を断たれ逃げ場を失ったミレーナはついに観念したのか大人しくブラを脱ぎ捨て、まな板の上の鯉ならぬアクリル板の上のおっぱい状態となった。ってこれって新たなことわざに認定されませんかね?
【では始めます。リラックスしてくださいねー】
無理難題を押し付けながら、合図と共に僕は無慈悲にもアクリル板の加圧を開始した。
「ああ…」
形の良い褐色の胸が押し潰されみるみる内に平たく変形していく。まるで麺棒で引き延ばされるパン生地だ。彼女の桜色の唇から漏れる甘い吐息が僕をくすぐり惑わせる。ついパワーを緩めてしまいそうになるがこれも仕事だ、仕方ない。僕は更に力を込めて豊かな肉の丘に対抗する。
「も、もうやめて……」
【いえ、そう言われても、検査ですから……】
変わり果てた声で言い訳がましく返事しながらあまりの心地良さに酔いしれてしまいそうになる。もっとも、今ダークエルフの女性の胸を圧迫しているのはかつてあった僕の両手ではなく、2枚の板に過ぎないのだが……
「は、早く終わらせてくれ……なんだか胸が熱くて気が遠くなりそうだ……」
ミレーナは苦し気な息の下から若干悩まし気に懇願する。確かに彼女の心拍数がどんどん高まっているのが密着している僕にも如実に伝わり、まるでマンモグラフィー自身が拍動しているかのようだった。
【もう少し待ってくださいねー】
「わざとゆっくりやってないか貴様!?」
【気のせいですよ、気のせい】
ちゃんとマニュアル通りやってるつもりなんだけど、自分も自らが機械になって操作するのは初体験なので、若干スピードに僕の意思が反映されているのかもしれない……よくわからないけど。
そうこうするうちに、撮影された画像が徐々にディスプレイ上に表示されていく。最新式だけあって中々仕事が早い。
【ん……、これは……?】
ざっと目を通しながら、僕はある違和感を覚えた。