第47話 修練場の戦い その2〜ちょっと魔王のおっぱいを揉んでみたい!〜
(嗚呼、自分が情けない……おっぱいに釣られてつい二つ返事で引き受けてしまった……)
「まあまあ白箱くん、ほら、さっき話した例の件、覚えているガオ?」
自己嫌悪でズコンと落ち込んでいると、何故か敵側のメディットがライオン足ですり寄ってきて、僕にそっと耳打ちする(耳はないけど)。
【例の件って、確かスパイ】
「え? スパイがどうかしたんですか?」
急にミレーナが振り返ってこっちを見る、
【い、いや、スパに行きたいなって話していたんです!】
「機械の分際で入るつもりなんですか? ま、壊れてもいいなら別に構いませんけど」
彼女はそれっきり興味を失い、魔王と何やらルールについて話し込んでいる。
「フーっ、焦ったガオ! 発言には注意するガオ!」
【いや、今のは明らかにあんたのせいだよね!?】
「そうガオ? とにかく今はそれを調べるいい機会だガオ! ここには有力候補が揃っているんだから、戦いながら探りを入れるんだガオ!」
メディットはほっそりとした顎先で部屋の一隅を指し示す。いつの間に出現したのか、なんとそこには忘れもしない巨大な松ぼっくりがデンと構えていた。どっからワープしてきたんだよ!?
「リプルを腫瘍ではないと診断した君の能力をボクは高く評価しているガオ! 実は腫瘍には魔力が溜まりやすいっていうし、彼女のおっぱいからはそこまでいっぱい感じないから、君の診断は正しいと思うガオ! というわけで、今回はやむなく敵味方に分かれたけど健闘を祈るガオ! ボクらはあくまでパートナーガオ!」
そう言い残すと片手をあげてメディットはリプルの元へと去っていった。確かに彼女の言う通り、四天王が皆いるというのはまたとないチャンスかもしれない。僕は腹を決めた。
「ではそろそろ決闘者は自分の参謀と共にそれぞれの控室に入って作戦を練ってください」
ミレーナが部屋の中央で司祭のごとく厳かに告げる。
「わかったガオ、じゃあ一緒に入るガオ、リプル! ついでに中でこっそり母乳を飲ませてくれてもいいガオ!」
「でででで出ませんよそんなの!」
さっき赤い乳汁は出たくせに、とつい突っ込みそうになるも喉元(?)で押しとどめているうちに、彼女たちはとっとと部屋の右側の扉へと消えていった。なるほど、あそこが控室というわけか。
【とはいえ僕は移動に時間がかかるし、ここで話し合いをしてもいいですか、ミレーナさん?】
「そうですね、特例で許可してもいいですよ」
「でかしたムネスケ! これで相手の作戦を聞き放題だぜ、ヒャッハー!」
なんとせこいことに魔王はダッシュで右に走り寄ると、壁にピタリと耳を押し当てた。盗聴だよこの人!




