第46話 修練場の戦い その1〜そりゃ魔王のおっぱいを揉んでみたい!〜
修練場は四角く広い体育館のような石造りの部屋で、日中なのに四本の松明が煌々と燃え盛っていた。その上には各々通気口があり、また、部屋の四方にはそれぞれ扉があったが、窓は一つもなかった。壁には剣や槍、斧、盾などの武具が飾られ、重々しい雰囲気を醸し出していた。ちなみに室内には既に先客が2人おり、僕たちを歓迎してくれた。
「待っていましたよ、魔王様。ついでに白箱とリプルも」
「やあ、また会えたガオ、白箱くん!」
ミレーナは無表情のまま一礼し、メディットは何やらブヨブヨした小さな物を指先でこねくり回していた。ガムかなんかか?
【ミレーナさんにメディットさん! 何故ここに!?】
「魔王様から聞いていないのですか? 先ほど魔王様が、『これからリプルと戦闘訓練を行うので立会人をしろ』とお命じになったので、私は参りました」
「そしてボクは魔王様にリプル側の作戦参謀として呼ばれたんだガオ! よろしく頼むガオ!」
【ええっ!? ということは……】
僕は2人を呼び出した重宝人をチラ見した。てか最初からそう言えよクソ魔王!
「そうだムネスケ、そなたはこれから我がサイドの作戦参謀として獅子奮迅の働きをするわけだから、これはチーム戦ということになるな、我とお主対リプルとメディットの。共に勝利の美酒を飲もうぞ!って飲めるのは我だけだが」
【いくらなんでも無理ゲーですよ! 初めての参謀の仕事でいきなりメディットさん達と戦うなんて!】
「こっちが勝ったらメディットのおっぱいを揉ませてやるぞ、魔王権限で」
【どうせまたライオンの乳でしょう!? 二度も同じ手に引っかかりませんよ!】
それを聞いて魔王が小さく舌打ちしたので、やはりそのつもりだったのだろう。
「まあ、いくらお主がルーキーでも、そこは百戦錬磨の我がカバーしてやるから大船に乗ったつもりで安心するがいい。もっとも我の魔力はいささか強力過ぎるので、今回は双方魔法の使用は禁止しようと思う。昨日強大な召喚魔法を使ったばかりでまだ完全回復していないしな。これでいい勝負になるだろう」
「ま、そういうことガオ! そこにボクたちが付け入る隙もあるんだけどガオ。じゃ、魔王様と白箱くん、正々堂々とフェアプレーで勝負するガオ!」
「おう、望むところよメディット!」
【ちょっと待ってくださいよ! 僕の意見はどーなるのよ!?】
「うるさいぞムネスケ! よし、なら我らが勝ったら特別に我こと魔王のおっぱいを揉ませてやるわ!」
その一言で俺は再び脳内がお花畑になった。おっぱいおっぱい!




