第44話 セイレーンの寝所 その11〜昔おっぱいを鼻で弄ってチクニーしている象さんを見たことある〜
「じじじじ実は今思い出したんですが、今朝ちょっとムラムラしちゃったのでつい左のかぎ爪でチチチチチクニーしちゃったんです……」
【そりゃ血が出て当たり前だあああああ!】
衝撃的真実に耐え切れず、僕は再び突っ込みマシーンと化した。
「ごごごごめんなさいいいい……」
「やっぱりニャン。途中からひょっとしたらそんなオチじゃないかと薄々感づいていたニャン!」
【わかってたんなら早く言ってよ! 無駄な検査しちゃったじゃないか!】
「だってその検査とやらに非常に興味があったし仕方ないニャン! しっかしリプル様ったら本当にトリ頭だニャン!」
【なるほど、それでさっきチクニーしたことも忘れて……ってそういう問題か!?】
「うううう……本当にすみません……こんなにお二人にお手間を取らせてしまって……」
【い、いや、それは別に構わないけど……】
よよと泣き崩れる清楚な乙女(人外だけど)を前にすると、僕も鬼ではないのでそれ以上は彼女を責めることは出来なくなった。
「気にするニャン、リプル様! うちはとっても楽しかったから大満足だニャン!」
【だからそういう問題か!?】
「あううううう……」
いかん、リプルが必要以上に落ち込んで腐った魚の目をしている。ここは一発励ましてあげないと!
【ほら、元気出してくださいよ。仮にも魔王軍四天王の一角なんでしょう?】
「仮にとは失礼だニャン!チクニー好きな変態だけどニャン!」
【あんたの方がよっぽど失礼だと思うよ!】
「けけけけ喧嘩はやめてください! いいんです、本当にあたしなんて大したことないから……」
「そういつまでも自分を卑下するな、リプルよ。そなたはわが軍でも1、2を争う実力の持ち主だぞ。今まで一緒にしたことはなかったが、何なら今からすぐにサシで我と戦闘訓練を行うか?」
勇敢な戦士の雄々しさと、包容感溢れる聖母の優しさを兼ね備えた妙なる声が、開け放たれた入り口から響き渡ったので、僕たちは皆一様に姿勢を正した。
「まままま魔王様!? なななな何故ここに!?」
「なに、さっきキムリアが楽しそうにここに飛び込む姿を目撃したので、失礼ながら物陰から観察させてもらった」
我らが王は悪びれもせずにそう言い放った。この人絶対ストーカーだ!(某G癌の解説者ではない)




