第40話 セイレーンの寝所 その7〜おっぱいブラッディミルクカクテル〜
「よーし、では今から皆様お待ちかねのおっぱいブラッディミルクカクテルのチェリー添えをこのマドラーちゃんでグリグリシェイクタイムだニャン!」
「そそそそんな変な名前のカクテルなんてないですうううううう! ひぎいいいいいいっ!」
【嗚呼……南無阿弥陀仏】
僕は紳士的に目を背けるべきかどうか一瞬迷ったが、物理的に不可能なので、その何とも悲惨かつ胸踊るショーをかぶりつきでガン見する羽目となった。
(しかしよくまああんなぶっ太い代物が乳首の孔なんかに入るものだなぁ……)
僕はこれはそもそも医療行為であるし、なるべく人体の神秘的な側面に目を向けてよこしまな気持ちを抑えようと試みるも、効果は微妙だった。先ほどまで桃の皮のようにピンク色だった乳首は今や充血して真っ赤に隆起し、その頂にはキムリアとかいう腐れ猫娘の言う通り確かにゾンデがマドラーのごとくそそり立っている。そしてその入口部からは何だかよくわからない液体が僅かに流出してはいるが現在のところ無色透明で、とりあえず血性ではなさそうだった。
しかしこんな地殻変動級のパラダイムシフトのカオス状態だというのに、当のリプルの表情はどちらかというと苦痛よりも喜悦を浮かべており、その声は悲鳴よりも嬌声に近いのが謎だった。
【おーい、もうそれくらいでいいから、早く次に移ってよ!】
「えーっ、もうちょっとグリグリしたいニャン! ねぇ、リプル様!」
「わわわわ私はべべべべ別に」
「でもま、ネクストステージも同じくらい楽しそうだからもう下準備はこれくらいにしておくニャン! それぇーっ!」
「あがああああああああっ!」
電光石火の早業で、邪悪な猫妖怪はグボッとリプルからゾンデを引っこ抜くと、既に待機中の注射器を構え、火山の噴火口みたいに花開いた乳孔部に勢いよく突き刺した。ひどいとは頭では思うものの、まるで剣術の達人の目にも留まらぬ秘伝の抜刀術を目の当たりにしているかのようで、ちょっと感心していた。だが、ここは一言釘を刺しておくべきだろう。
【おいおい、もっと優しく手加減してやってよ】
「何をぬかすニャン、全て人任せの木偶の坊の白箱! リプル様はどう見てもこれくらいしないと満足しないだろうがニャン!」
【そ、そうか……?】
僕は反論しようとしたけれど、興奮状態の猫メイドが怖かったため、途中で諦めた。




