第38話 セイレーンの寝所 その5〜おっぱい揉みにケーションの達人〜
【リプルさん、リプルさんってば!……弱ったなぁ、これって一体どうすればいいんだ!?】
僕は泡を吹いて白目を剥き、おっぱいを丸出しにしてぶっ倒れている鳥魚女を前にして大いに途方に暮れた。今の自分には彼女の肩を叩くことも、ベッドに運ぶことも不可能で、せいぜい声をかけることぐらいしか出来ないのが悲しい。しかもその程度では陸に上がった魚みたいになった水魔を現世に呼び覚ますことは無理だった。
【もう誰でもいいから来てくれーっ!】
「はいニャン!」
なんと僕の助けを求める声に反応し、どこかで見た覚えのあるような猫耳メイドが入り口から駆け込んできた。魚の匂いにでもつられたのか?
【き、君は、えーっと、確かレミッチだっけ?】
「違うニャン! レミッチはうちら四つ子の一番上の姉だニャン! うちの名前はキムリアで20歳なので以後よろしくだニャン!」
【は、はあ……四つ子だったのね……道理でほとんどそっくりなわけだ】
「全っ然違うニャン! レミッチは年増風で耳が白くって語尾が『ニャ』だけど、うちは若くて可愛らしくて耳は黒色で、語尾が『ニャン』だニャン! もっともうちが姉妹の中で一番レミッチと仲がいいニャン! ここはテストに出るニャン!」
【わかるかい! てかひょっとして、君たち姉妹は皆語尾が違うのかい?】
「よくぞ気づかれたニャン! さっすがおっぱい揉むのが大好きでこっちの世界にまで揉みに来た揉みにケーションの達人って噂の新作戦参謀の白箱様だニャン!」
【いつの間にそんな噂が立ってるの魔王城!? うがあああああああ!】
「どうどう、落ち着くニャン。とにかく語尾についてまとめると、長女のレミッチは『ニャ』、次女のキムリアことうちは『ニャン』、三女のハイシーは『ニャア』、そして四女のザガーロは『てやんでえこのやろう』だニャン!」
【最後だけなんか違い過ぎるよ!】
「細けえことはいいんだニャン! で、何の用事だニャン? こう見えても結構忙しいんだニャン!」
【そうだった! 呑気にこんなバカ話をしている場合じゃない! そこに倒れているリプルさんを起こしてくれ!】
「ももももももう起きています……ごごごご心配をおかけしました」
【あら?】
どうやらこっちが騒ぎ過ぎたせいで、眠れる美女は勝手に目覚めてしまった様子だった。




