第26話 錬金術師の部屋にて その3〜おっぱいスフィンクスの謎〜
徐々に室内を照らす陽光が強さを増し、時刻が昼に近づいていることを知らせていた。この身体になってから食欲を一切感じないのが恨めしかったが。
「君ほどの知恵者なら、ボクとの謎かけ対決が出来そうだガオ! スフィンクスの性として是非ともお願いしたいガオ! これ、この通り!」
絶世の美女がよだれをたらさんばかりに僕に迫って懇願してくるのは結構な見ものだった。
【謎々勝負ってことですか? 別に嫌いじゃないからいいですけど、負けても食べないでくださいよ】
「君みたいな固そうな白箱、食べられるわけないガオ!それに安心するガオ、自分は人間は食べないガオ!」
【それを聞いて安心しました。では、どうぞ!】
予想通りの返事を貰って僕は安堵するとともに、やや心を引き締めた。ここは一発、格好よく謎々を瞬殺して見せて、更なる尊敬と信頼をゲットするに限る。どうせスフィンクスの謎と言ったら超有名な、「朝は一本足、昼は二本足、夜は三本足なーんだ?」っていうアレに決まっているだろうし。
「ではいくガオ! 朝は平地で昼は盛り土、夜は鍾乳石とは何ぞや?」
【想像していたのと大分違う!】
予想外の不意打ちを喰らって、僕は目を、じゃなかったレンズを白黒させた。てか意味がさっぱりわからん! 答えは人間……ではなさそうだし。
「どうしたガオ? もう降参かガオ? 異世界の賢者と言えどもボクの前じゃその程度かガオ?」
やけに楽しそうな顔をしながら邪悪なスフィンクス女が僕を挑発してくる。意外と性格悪そうだな、こいつ。
【まだ考え中ですよ。でも……もしよければ、なにかヒントくらいありませんか? 何しろこっちに来てから半日しか経ってないので、新しい知見に脳がまだ追いついてないんですよ】
「脳みそなんてなさそうに見えるけど、ヒントくらいなら出してやってもいいガオ! ……うーんと」
案外チョロそうな出題者は、しばしの間考え込んでいたが、何を思ったか、何とその場でいきなりジャンプし出した!
【うわっ、何をするんですか!? ほこりが舞って煙たいですよ!】
「ハッハッハッハッ」
だめだこの人、呼吸音が荒くなって何も答えられない状態だ。しかし彼女が床を蹴るたびに凄い勢いで豊かな乳房がさっきとは比較にならないほど揺れ動くのは非常に眼福だった。魅力的な肉塊が、あたかもゴム毬のようにバウンドし、風船のように飛び跳ねる。こんな贅沢な光景が地上にあっていいのか!? ブラボー! エクセレント! トレビアーン! いつまでも永遠に見てみたい、このおっぱい劇場を! ってまてよ……!
【わかった、答えはおっぱいだ!】
「せ……正解だガオ!」
僕は勝ちどきを上げ、それと同時に彼女も力尽き、おっぱい劇場は幕を閉じた。残念。




