第24話 錬金術師の部屋にて その1〜金髪爆乳おっぱい!〜
「もう着くニャ。心の準備は良いかニャ?」
【オ、オッケーです!】
「ここだニャ!」
言い終わるや否やレミッチはとある通路の行き止まりにある古びた扉の前で止まり、「失礼するニャー!」とノックもせずに開け放った。そこは机や椅子がいくつも置かれた広い部屋で、様々な見慣れぬ器具が雑多に並んでおり、学校の理科室を連想させた。窓から午前の透明な日の光が斜めに差し込み、読めない字が書かれた書物の表紙を輝かせていた。何やらノスタルジーを誘うような不思議な空間だったが、室内に満ちた何かの薬品の刺激臭らしきものが鼻腔を悩ませるのにはちょっと辟易した。って鼻はないんだけど。
「おお、レミッチ! 待ってたガオ! ちゃんと連れて来たガオ?」
積み重なった本の山の奥から声がして、金色の髪が書物の隙間からユラユラと棚引く。間違いなくこの部屋の主人だ。
「もちろんだニャ、メディット様! でもこの区画はわかりにくいからいつも迷いそうになるので困るニャ!」
「ひょっとしてそれで私に同行させたのですか、レミッチ? 朝の謁見の間の掃除がまだだというのに?」
僕は背後に立ち上る殺気を感じて背筋が凍りつきそうになった。
「そ、そんなわけないニャ、メイド長! じゃああたくしたちはこれで失礼するニャ!」
とっさに空気を読んだ猫娘は速やかに会話を打ち切ると、ミレーナと共に踵を返して立ち去ろうとするので僕は焦った。
【ま、待ってよ! 勝手に置き去りにしないで! 僕は自力で歩けないんだよ!】
「大丈夫ニャ! 明日の朝また迎えに来るニャ!」
【おい、待て!】
大声を張り上げるも誰も聞く耳を持たず、扉をバタンと閉める無慈悲な音だけが後に響いた。
「まあまあ白箱くん、そう悲観することはないガオ。君とはじっくり差し向かいで話がしてみたかったんだガオ。それともボクと会話するのは嫌ガオ?」
長い金色の髪の毛を無造作にかき上げながら、美の化身のような女性がこちらにやって来る。紫衣に包まれた胸乳は魔王やミレーナにもひけを取らず、歩くたびに左右に揺れて存在を主張するので僕はたちまち目を、っていうかレンズを奪われてしまった。これで下半身がライオンじゃなかったら、惚れてしまいそうだ。
【べ、別に嫌ってわけではないですけど、一体何の用ですか?】
「フフ……」
メディットは、正に謎めいたスフィンクスの笑みを浮かべた。




