第23話 おっぱい大好き獣人メイド その2
「理解が早くて助かりますニャ、魔王様。あたくしも早いとこ仕事を済ませて子作りの用意をしなきゃならないのニャ」
【こ、子作り!?】
レミッチとかいう猫娘がさらっと恐ろしいことを公の場で発言したので、僕は上ずった声を漏らしてしまった。
「おっ、そうか。そなたもとうとう成人したのか、おめでとう」
「ありがとうございますニャ! 20歳になったニャ! これから可愛くて丈夫な赤ちゃんをドシドシ産むニャ! そして魔王様みたいな爆乳になりたいニャ!」
「おうおう、いいぞいいぞ、どうせなら100匹くらいこさえて我が軍の戦力アップに貢献したまえ」
「はいニャ! ではそろそろ失礼しますニャ!」
僕を完全に蚊帳の外にして凄まじい会話は進行していく。まあ、異世界の風習は違うのが当然なので突っ込むまいと我慢しているうちに、結局僕はまたもやミレーナに頭をむんずと掴まれると、階段にガンガン当たりながらも降りていき、遂に謁見の間から外に出た。
【ほお……】
僕は初めて目にする城の回廊に見とれてしまっていた。まるで中世の教会のように柱が延々と連なり、高い天井を支えている。分かれ道も多く、初見では絶対迷子になる自信がある。ただ、清潔感に満ち、洗練されたデザインで、魔王の居城とは思えぬほどの美しさだった。ちなみに廊下のところはさすがのミレーナも手が疲れたのか、僕を後ろから押して進むため、車輪が石畳に当たるガラガラという騒音が城中に木霊し、自分でも耳を塞ぎたくなるほどのうるささだった。って耳はないけれど。
【凄く綺麗で広いですね。一体今何人くらいこの城に住んでいるんですか?】
「作戦参謀のくせにそんなことも聞いてないのですか? 魔王様とイチャついている暇があったというのに?」
【うっ】
相変わらずミレーナの言うことは辛辣で、一々胸に突き刺さる。
「まあまあメイド長、この白箱さんはまだ昨日来たばかりだから仕方がないニャ。現在のこの旧魔王城の住人は魔王様と四天王とあたくしたち猫獣人メイド四姉妹の、合わせて9人だニャ! そしてあたくしは大きいおっぱいが大好きだニャ!」
【そうか……ありがとう!】
親切な猫さんのお陰で貴重な情報を入手出来たので、僕は素直に感謝したが……それにしてもたった9人とは少ないな! ギリギリ野球チームが出来る人数しかいないじゃないか! こんなので今後大丈夫なんだろうか……? 作戦参謀として、僕は内心大いに憂いた。




