第17話 爆乳おっぱいだらけの魔王軍四天王 その4
結局あれから10分以上は粘ったと思うけど、巨大松ぼっくりことモーラスさんは頑なに殻に閉じこもっているため、遂には魔王も匙を投げ、「ま、そのうちひょっこり顔を出すこともあるだろう」と極めていい加減なコメントを述べた。って亀かなんかかよ!
「というわけで、途中ちょいと中だるみしたが四天王紹介は以上だ。皆、胸のことで何か困ったことがあれば遠慮なくこのムネスキーじゃなくてムネスケに相談しろ。後、定期検診をちゃんと受けるんだぞ。屈辱検診だとかそこで小声で言うな、ミレーナ!」
まるで全校朝礼中におしゃべりする生徒に注意する校長先生のごとく、魔王の司会は絶好調だ。つい拍手喝采したくなってくる。
「さてムネスケ、そなたも自己紹介しろ。なるべく短めに頼むぞ。皆眠気が来る頃合いだしな」
【ええっ、ぼ、僕もですか!?】
「当たり前だろ、新人の洗礼だ。何だったら一発芸でも構わんぞ」
【しませんよそんなもん!】
渋々僕は聴衆を見下ろしながら、何か気の利いた文言を構築しようと模索する。そもそもこういうのって苦手なんだよな……。
【は、初めまして魔王軍の皆さん! 僕は胸広浩介といい、乳腺外科医をやっていました。乳腺とはつまりおっぱいです。えー、本日はお日柄も良く……】
「そこはいらんから早よ進めろ!」
魔王のノリは体育会系で何だか懐かしい。まあ、酒を注いで回る必要は無さそうだが。
「自分は元は人間でしたが、どういうわけかこの世界に連れてこられ、しかもこのマンモグラフィーというおっぱいを調べる機械と合体してしまいました。ところで先ほど一発芸をしろとか言われましたが、以前飲み会で強制的にやらされたとき、両方の手のひらでお腹の脂肪を挟んで、『マンモグラフィー!』って叫んだところ先輩方にバカ受けでした。さて、先輩といえばおっぱいの大きな能登川先輩という人が……」
いかん、緊張し過ぎて何を言っているのか自分でもよくわからなくなってきた! 周章狼狽に陥った僕は魔王をチラ見すると傍らで声を出さずに腹を抱えて爆笑していたので、ちょっと殺意が湧いてきた。
【……てな感じで、ふつつか者ですが、ご指導ご鞭撻のほど、これからよろしくお願いします!】
「良くやったぞムネスケ、お疲れ様だったな。締めはちと強引過ぎたのがアレだったが。では彼はこれから検診係の他に、メディットと並んで我が軍の戦略参謀も兼任してもらう。仲良くしろよ、2人とも」
「よろしくお願いするガオ、白箱くん!」
金髪巨乳美女が上目遣いにウインクする。あれで下半身が猛獣じゃなかったらついクラッとくるところだったが、理性の力を総動員して堪えた。
こうして朝礼はつつがなく終わりを迎えようとしていた……この後とんでもない人物が乱入することなど誰もつゆ知らずに……