第15話 爆乳おっぱいだらけの魔王軍四天王 その2
「よし、では今から朝礼を始める! 早速だが新入りもいるので面子を向かって右から紹介していくぞ。まずは魔王軍四天王のリーダーにして我が副官・ダークエルフのミレーナだ。彼女は我が軍の騎士団長を務める武術の達人にして、メイド長も兼任している。なお、メイドはあと4人いるが、またいずれ会わせてやる。で、ミレーナとムネスケは昨晩十分に親密な間柄になったと思うので、こんな程度でいいよな?」
「失礼ですが誤解を招くような発言はお控えください、魔王様! この白箱とは何の関係もありませんので」
ミレーナは引きつったような表情で上司への反抗を試みる。それにしても僕の渾身の雄叫びを無視して勝手に話を進めていくのってひどくない?
「わかったわかった、そういうことにしておいてやろう。はい次!」
魔王は全てを破壊しながら突き進む暴走戦車のごとく、周囲の意見をないがしろにして議事進行していく。このワンマン君主め。彼女は今度は紫色の服をまとい両腕に黒い手袋をはめた金髪紅瞳の半人半獣美女に視線を注いだ。
「その隣は我が軍の作戦参謀を担うアンドロスフィンクスのメディット、240歳だ。彼女は中々に面白い作戦の立案を得意とするが、類い稀なる才能を持った稀代の錬金術師でもあり、様々な魔法薬や魔法道具、そして魔法生物の開発などを行なっている。だが時に失敗したり暴走することもあるのが玉に瑕というか何というかなぁ……」
急に魔王の快活な喋りのトーンが下がっていき、口元の笑みは変わらないものの、目だけは笑っておらず、何かを待ち構える表情になる。しかし対峙するメディットとやらは全く臆する様子もなく、絶世の美貌にアルカイックスマイルを浮かべてこう答えた。
「分不相応な身に余るご紹介、誠に恐れ入るガオ、魔王様。徹夜で練習してきたのガオ? 目の下に隈があるガオ」
現世でお会いしていたら近づくことさえ許されないレベルのモデル級の美女が突如ガオ語(?)で喋ったので、僕は口をあんぐりと開けそうになったがあいにく口がないもので、代わりに引き出しがガタガタ揺れただけだった。てかこのお姉さんが噂の錬金術師だと!? 正直もっと年寄りをイメージしてたよ。おっぱい垂れてるとか魔王が言ってたし。こうして見てみると、垂れ乳というよりも長乳に近いのかな? うーむ。
しかしスフィンクスって神話に出てくる謎々好きのアレのことか?確かに物知りっぽいイメージだが、答えられないと相手を食べてしまうっていうのがちょっと怖いんですけど……ってよく考えたら僕は現在機械の身体だから喰われる心配だけはないことに気がついて一安心した。やれやれ。