第145話 おっぱい大逆転! その1
アウェイだというのに目の前に極楽が出現している。本当にモチモチして素晴らしい揉みごたえだ。油断するとすぐ精神を持っていかれそうになり、すでにアップアップだが、何とか僕は踏みとどまっていた。
「しかし白箱のやつは一体何を考えているのでしょうか……まさか魔神の本体を揉みつぶすつもりでしょうか?」
ややダメージ回復しつつあるミレーナが、上体を起こしながら頭に疑問符を浮かべる。
「いや、さすがにそんな単純な方法じゃ魔神は倒せないガオ。おそらく何らかの秘策はあると思うんだガオ……」
瓦礫の中から這い出しつつあるメディットが、やや自信なさげに答える。
「あなたはあやつを買いかぶり過ぎですよ、メディット」
「確かに……ひょっとしたら死ぬ間際におっぱいを揉みたいだけかもガオ……」
「そそそそそんなことはしないですよ白箱さんは! ああ見えて意外と紳士的です!」
必死のリプルのフォローが、聞いていて心に染みる。でも「意外と」ってけっこうひどくない!?
『まだ終わりませんか?』
【は、はい! もうちょっとお待ちください!】
僕は雑念を振り払って作業に集中する。甘美なる肉の感触は心をパラダイスへと誘うも、グッとこらえて全身に気合を注入する。いよいよ正念場だ。
【いきますよ、マンモグラフィー奥義・最大出力ぅぅぅぅっ!】
僕の体内が瞬間湯沸かしのごとく沸騰し、負荷で今にもたわみそうなアクリル板が料理中のフライパンのように熱を発する。
『あ、熱い……これは一体……ぐああああああああ!』
なんと、今まで如何なる刺激に対しても無反応だった魔神の顔に苦悶が走り、口を張り裂けんばかりに大きく開いて絶叫する。床に横たわる四天王たちもこの異常事態には魔神同様口をあんぐりとして声も無かった。僕は内心ほくそ笑む。罠は成就した。
『な、何をしたんですか、私の身体に!?』
【え? 別に、普通に検査しているだけですよ。そう言ってるじゃないですか】
『明らかにそれだけではないでしょう! この焼けつくような痛みは!』
【仕方がないですねぇ、オレンシアさん。今お話ししますよ】
わけのわからぬ苦痛におびえ、恐怖する最強の魔神を見ていると嗜虐心をそそられご飯が美味くなりそうだったが(食べられないけど)、僕も人並みに慈悲の心は持ち合わせているので、親切に解説してあげることにした。