第142話 おっぱい大覚醒! その10
【ああっ!】
魔神の種明かしは、何故僕が男なのに検問を通過したのかという疑問を氷解させた。
【ひどい! ひどすぎるよ魔神さん! アイエエエエエ!】
あまりの仕打ちに泣き叫ぶ僕だったが、またしても新たな疑問がポップアップした。
【でも、そのことと、地球を滅ぼす作戦に何の関係が?】
『非常に良いご質問ですね、ムネスケさん。私がこの身体を完全に自由に操り、かつての力を取り戻すためには、潜在能力の限界まで引き出した魔力を出来得る限り最大まで高めた魔王エリキュースが、私の愛用の神器たる白乳石を手にする他ありません。以前のままの彼女では、宝玉を手にしていても文字通り宝の持ち腐れで、まだまだ覚醒には程遠かったので、私はわざと自分の存在を姉思いのオドメールにだけ感付かせ、魔王から家宝を取り上げるよう仕向けました。結果、見事罠にかかってくれましたが』
「そ、そうだったの!?」
まだ全身を震えさせながらおびえていたオドメールが、天地がひっくり返ったかのように驚く。
『そして私は魔王が部下と共に修練し、魔力を徐々に高めていくのを内部で見守ってきました。その期待に応えるかのように彼女の実力はうなぎ登りで、今までは人間や亜人の魔力を吸収するのがほとんどで、魔族や魔物からはごく一部だったのが、指数関数的に吸収力が増加し、それに伴って金泥病は惑星全土に広がっていきました』
「グガアアアアアアガオ! 貴様のせいガオ!?」
今度はメディットがのたうち回る。この魔神、憂鬱の二つ名通り、至る所にトラウマを発生させているな。先を聞くのが怖くなってきたぞ。
『そしてムネスケさん、あなたと魔王の関係が深まったとき、誠にタイミングよくメディットさんがあなたが複製体であるという真相をカミングアウトしてくれました。よって魔王は絶望に打ちひしがれたあなたを救うために自主的に宝玉の奪還に動き、その結果がこの通りです。ま、遅かれ早かれこうなったことは目に見えていましたけどね。どうです、納得いただけましたか?』
【あまりにも計画的すぎるよ! あんた僕より作戦参謀向きだよ!】
僕は魔神の長話が終わると同時に絶叫した。どうも、中身は変われども魔王に対する突込み役は返上できそうにない。




