第138話 おっぱい大覚醒! その4
「魔王様、見つけてきたニャア! これのことニャア?」
猫娘軍団の一人の手には、真珠のように白い宝石が握りしめられていた。
「でかしたぞキムリア! まさにそれだ!よくやった!」
「ど、どうやって魔王城に忍び込んだのよ、あんたたち!?」
お祭り騒ぎの室内でオドメールは気の毒なほどパニクりながら、カヌマと共に窓際まで後ずさった。
「そのようなことに答える義務はないが、今後の城の防犯体制の参考に教えてやろう。謁見の間の鏡がこの本城と我が囚われの支城とを魔法的につなぐ門であることに、つい先日我は気づいたのだ! よって本日密かに先に四姉妹をこちらに送り込み、我の反逆によって城が手薄になる頃を見計らって大々的に城内を探し回らせたわけよ。つまり我はおとりだったわけだ。まあ、これは次善の策で、本来は警護が手薄なら我自身がこっそり夜陰に乗じてそのまま飛行し侵入するつもりだったが、そうもいかなくてな」
得意げに作戦を披露する魔王の話に僕は度肝を抜かれた。あのゲートは、魔王も先刻ご承知だったというわけだ。
「クッ、そんなものがあっただなんて聞いてないわよ!」
「いざという時の脱出経路だったのかもしれんですなあ……」
「ま、そういうわけでこの勝負は我の勝ちだ! 四天王まで駆けつけてくれたのは嬉しい誤算だったが、その必要もなかったな。どうだ、見事取り返したぞ、すごいであろう、ムネスケ!」
「駄目よ! お願い、あんたたち、頼むからお姉様にあの白乳石を渡さないで!」
「「【はぁ?】」」
なんと、進退窮まって混乱したのか、オドメールがこともあろうに僕たちに向かって頭を下げた。
「血迷ったのですか、オドメール様。私たちは現在敵同士ですよ?」
「そうだガオ! 魔王様を牢屋にぶち込むとか言ってたくせにガオ!」
「何言ってんのよメディット! あんたスパイいつやめたのよ!」
「うっ」
ついさっき裏切り者をやめたばかりのスフィンクスは、痛いところを突かれて撃沈する。
【それは置いておくとして、どうして僕たちに頼むのですか? 何か理由があるのですか?】
「決まっているでしょう! 世界が滅ぶからよ! 姉様は予言された呪いの子なのよ! だから無理矢理王位を奪ったのに!」
泣き叫ぶオドメールの発言はあまり要領を得なかったが、僕は鬼気迫るものを感じ、押し黙った。そこには姉を一心に想う妹の姿しかなかった。
「皆、そのようなバカげたたわ言など真に受けるな! 我はそんな予言になんぞ打ち勝って見せるわ! キムリアよ、早く縄を解いて我に家宝を!」
「はいニャン!」
魔王の下知が飛ぶや否や、速やかに命令は実行され、宝玉は元の持ち主の手中に戻った。
そして……