第137話 おっぱい大覚醒! その3
「とにかく、今からお姉様には扉を新調したての地下の牢獄に移動してもらうわ。そこで今度こそみっちり猛省して……って何、今の音は!?」
どうやらオドメールの方も今の物音に気づいたらしく、不安げな声を発する。
「ハッハッハッ、忘れたのか、愛しい我が妹よ。そなたがどうやって我からあの宝玉を奪ったのかを!」
「どうやってって、あたしがいつもこっそりお姉様に会うために使っていた、戸棚の裏の隠し通路を使って忍び込んで……って、ひょっとして!?」
「ハーッハッハッハッ、その通りだ!そして今夜はそれがそっくり再現されるのだ! ただし反対の意味でな!」
魔王の高笑いが止まらない。その間にも怪しげな騒音はどんどん魔王たちのいる部屋目がけて進んでいく。
【皆さん、今すぐ室内に突入しましょう! これは千載一遇のチャンスかもしれません!】
「そ、そうなのですか? しかし魔王様は現在縛られているのでしょう? 簡単に脱出できるわけが……」
「何だかよくわからないけど、僕も吶喊すべきだと思うガオ! だって今まで白箱くんの立てた作戦に一つも間違いはないガオ!」
「じじじ自分も右に同じです! やりましょう!」
「やれやれ、血の気の多い方々ですね、わかりましたよ」
一対三の多数決で敗れたため、ミレーナもようやく重い腰を上げてくれることになった。これで百人力だ。
「では行きますよ、皆さん!」
「「【おう!】」」
号令一下、ミレーナは僕を持ったままでドアに瞬時に近づき鉄拳を叩き込む。轟音と共にドアはすっ飛び、辺り一面にもうもうと金色の埃が舞い上がる。
「動くな! ドアのようになりたくなかったら魔王様をこちらに引き渡しなさい!」
まるで立てこもり犯に告げる警察官のごとくミレーナは胴馬声をあげ、室内をのぞき込む。
「おお、そなたたちか! 誰かと思ったぞ!」
「な、なんなのよあんたたち!?」
姉妹の相反する言葉が同時に出迎える。魔王は予想通り後ろ手に縛られてベッドの上に座っており、オドメールとカヌマは呆然と立ち尽くしていた。
「しかしせまっ苦しい通路だニャ!」
「また太ったニャン、姉さん?」
「妊娠が終わったばっかなのにニャア?」
「てやんでえこのやろう!」
その途端、ベッドわきの戸棚がガタガタ鳴ったかと思うとズズズと移動し、隙間から四人の猫娘たちが口々にわめきながら飛び出してきた。