第129話 暴かれたおっぱい その11
【また、他の原因として飲酒や喫煙などがありますが、彼女に以前、『勝利の美酒を共に飲もうぞ』と言われたことがあります】
「確かにこっそり飲まれてますね、あのお方は。地下のワイン蔵の蓄えが結構減っているんですよ」
「ハハハ、バレバレだガオ! でもまだ理由としては弱いんじゃないガオ? そんな人はいくらでもいるガオ」
中々メディットも手厳しい。まあ、科学者として妥協を許さない態度は評価できるが。
【もちろんまだありますよ。乳癌になると皮膚にえくぼ状の引きつれが生じることがあります。魔王の場合はありませんでしたが、中には陥没乳頭になる人もいます。確かそうでしたよね?】
「「「!」」」
またもや三者に激震が走り、石化したかのように止まる。だが直後、皆堰を切ったように喋り出した。
「す、すげえガオ! それは充分な証拠だガオ! 是非じっくり調べたいガオ!」
「急に言うことが180度変わって怖いですよメディット! ですが自分も興味ありますね……ゴクッ」
「ちちちち乳首からわかるってすごいですね!」
どうやらこの人たち乳首とかおっぱいとかの情報に弱いらしい。まあ、分かってましたが。
【以上を持ちまして、魔王が乳癌に罹患している可能性はかなり高いと思われます。そして、それを治療することこそが、金泥病の根絶に繋がるのではないかと僕は睨んだ次第です】
「ちょっと待つガオ! また結論が飛躍しているガオ!」
やっと同意してくれるかと思った矢先、またしてもメディットが茶々を入れる。でも、もう半分は堕ちかかっているので後一歩だ。
【別に突飛な考えではないですよ。そもそも以前あなた自身が言ってましたよね。腫瘍は魔力を集めやすいって。つまり魔王の乳癌たるや、本人同様相当な力を秘めていると仮定されますから、周囲の魔力をどんどん吸収していると思われます。それこそがおそらく金泥病の原因にして、魔王がその元凶だとされる所以ですよ】
「そ、そういうことだったのガオ!?」
さっきから絶叫マシンと化しているメディットが、またも驚愕の声を上げる。僕もさっきからだいぶはったりを利かせているが、ここまで驚いてくれると嬉しい限りだ。僕は作戦参謀として最大の作戦を彼女たちに告げるべく、皆を凝視した。