第128話 暴かれたおっぱい その10
「でも、それだけだったら、別の解釈だって有り得るガオ! 偶然かもしれないガオ!」
メディットが相変わらず偶然説を主張する。まあ、予言なんてのは偶然を必然に見せかけることではあるけど。
【もちろん他にも根拠はありますよ。魔王は以前自分の左乳房に微かな違和感を覚えると言ってました。実際乳癌ってのはかなり大きくなるまではわかりにくく、自覚症状もあまりありませんからね】
「そそそそそもそも乳癌とはどうやって出来るんでしょうか?」
珍しくリプルも会話に参戦してくる。確かに彼女も以前腫瘍を疑われたわけだし、気になるところであろう。
【いい質問ですね。まず人間は目に見えないほど小さな細胞というものが数十兆個も集まって出来ています。細胞は様々な種類があり、それぞれ寿命があり、一部の臓器を除いて順に入れ替わっていくものがほとんどですが、中にはそれを拒否し、勝手に増殖していくものが出現することもあります。その集団を腫瘍、つまりは癌と呼びます】
「……なんだかよくわからないですが、それは体内のならず者軍団という感じなのですか?」
「我々のようなガオ?」
「私たちは違います!」
【まあ、大体そんな認識で間違っていません、ミレーナさん。あと講義中に喧嘩しないで!】
「なななななぜそんなものが生まれるんですか?」
【これまたいい質問ですね、リプルさん。原因には色々ありますが、乳癌の場合、女性ホルモンのエストロゲンというものが有名です】
「ホルモン? 焼肉の一種とかいうものですか?」
【絶対地球の料理漫画かなんか読んでますねミレーナさん! そうではなく、ホルモンとは体内の器官で作られて他の部分に作用する物質のことです。ちなみにエストロゲンは9歳頃から卵巣で分泌され、初潮後に産生量が増え、月経を誘発し、女性らしい身体を作り、妊娠のための準備などをします】
「むむ……つまりそれはおっぱいを膨らませるものなわけガオ!?」
【まあそういうことです。よってこれに曝される期間、つまり月経がある期間が長ければ長いほど、乳癌になりやすいといわれます。出産時や授乳時は月経がないため、出産や授乳未経験者ではリスクが高まります】
「はあ……そういわれると、魔王様は成長が他人よりも早い方でしたが」
「当然子作りも母乳もまだだガオ! 初乳を飲ませろガオ!」
【……なぜいつも会話の流れがこうなるんだ!?】
授業中にも関わらず、つい声に出して突っ込んでしまった。