第127話 暴かれたおっぱい その9
【ええ、僕も腐っても医者の端くれ、嘘は申しません。鬱の地獄の底でも、僕はいろんなことをぼんやりと考えていました。スパイのこと、金泥病のこと、魔王の予言のこと、そしてこの世界のこと等々。そして一つの結論に達しましたそれは……】
ここでわざと一旦口を切り、皆の反応を確認する。目論見通り四天王たちはこちらに身を寄せ、続きをいまかいまかと待ち構えており、注目を集めるのには成功したようだ。しかし三者三様の三対のおっぱいに取り囲まれているというのも結構乙なものでゲスなあ。ああ、揉みたい揉みたい揉みたいよママンって鬱状態が治った途端に早速おっぱい揉み揉み禁断症状が出かかっている! 我ながらやべえ!
「白箱よ、今凄い緊迫したシリアスな場面のはずなのに、下衆の眼で私の胸元を凝視していませんでしたか?」
「えええええええっちです!」
「白箱くん……やっぱり前言撤回したくなるガオ」
【す、すみません! 真面目にやりますから両手をボキボキさせないでミレーナさん! スクラップ反対!だからえーっと、つまり、以前診察した時は異常なかったけれど、おそらく魔王の左のおっぱいは乳癌です!】
「「「!?」」」
3人のおっぱいが、じゃなかった表情が固まった。
「しかしながら、一度検査して何もなければ問題ないのでは?」
【ええ、その通りです、ミレーナさん。ですが、僕には召喚された夜にあなたの胸を検査し、まんまとミミックスライムに騙された痛い経験があります】
「うっ!」
偽乳メイド長の方も古傷が開いたのか、苦虫を噛み潰したような顔をする。
「つまり、魔王様にも同様の魔法的な隠蔽工作が施されているってわけガオ? 一体何のためにガオ?」
【それを言われると確かに困りますが、でも可能性は高いと思います。それこそ予言の中で触れていますよ】
「ええっ、一体どこでそんなこと言ってるガオ!?」
【昔、僕の住んでいた日本という国では、乳癌は岩のように固いため、『乳岩』と呼ばれていました。江戸時代の華岡青洲という有名な医者が手術記録に書き残しています。魔王は『災いの岩となる呪われた子』と予言されたんでしょう? あなた自身が先ほど教えてくれたように、その予言が絶対当たるのであれば、彼女は確実に乳癌です】
「そういうことガオ!」
これにはメディットも衝撃を受け、してやられたといった表情をして、右手で自らの頭をペチンと叩いた。