第121話 暴かれたおっぱい その3
「金泥病……本当に白箱の言う通り……!」
これにはミレーナも重い吐息を吐きつつ、柳眉をしかめる。一目瞭然というやつだ。一方メディットはというと、抵抗は諦めたのか抗う様子は見せなかったが、下を向いて悔しそうに唇を噛みしめていた。
【やっぱりあなた自身が金泥病だったんですね……】
僕はそんな彼女に、すこし優し気な調子で呼びかけた。あんなひどいものを目にしてしまった後では、つい同情的な気持ちが湧いてしまうが、致し方ないだろう。
「……いつからそうだとわかったんだガオ?」
うつむいたままのメディットが、上目遣いで僕を見ながらボソッとつぶやく。ようやく一部は認めるつもりになったようだ。
【それもやはりあの子作りの夜からです。あなたをスパイだと感づいてから、その理由を考えた時、金泥病のことをあなたが僕に教えてくれたのがまずひっかかりました。あなたは自分が疑われないように自ら情報を僕に提示する癖があります。つまり逆算することで真実が導き出せたのです】
僕は魔王の居室での、彼女と魔王との会合を想起する。『……で、今まで人間や亜人種にのみ発症が認められていた金泥病が、最近魔族や魔物にもボツボツと確認されているそうだガオ』とメディットは確かに報告していた。その情報の出どころはどこかというと、他ならぬ彼女自身だったのだ。
また、実験のためとはいえ、必要のない時まで革手袋を身に着け、そして決しておっぱいを揉ませてくれなかったのも、ずっと心に引っ掛かっていた。別に恨んでいたからじゃないんですけどね、ええ。
「さすが白箱くんの推理能力は素晴らしいガオ。どうやらボクも兜を脱いで頭脳戦の負けを認めざるを得なくなったようだガオ……だが、真の勝負はこれからガオ! ウオオオオオーン!」
しおらしくうなだれていたメディットが突如豹変し、獣のように咆哮する。途端に彼女の背中から二枚の大きな翼がせり出し、背後のミレーナを打ちのめした。
「グゥッ!」
もろに顎に不意打ちを喰らって、ミレーナがミニスカからお尻を丸出しにした無様な姿でのけぞり、床に転倒する。頸木から逃れた魔獣は本性を現し、残忍な笑みを浮かべた。