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第104話 謁見の間の死闘 その19~おっぱいとか言ってる場合じゃない!〜

【どどどどうするんですか!?】


「わわわわ我だけならまだ逃げられるかもしれんが、皆となると……今こそそなたの優秀な頭を使え!作戦参謀だろうが!」


【ひでえ! 横暴だ! パワハラだ!】


 醜い言い合いをしながらも、僕は魔王がさっき何か救いとなることを言ったのをかすかに思い浮かべた。確か、すぐそこのアレが相当頑丈だとか何とか……


【玉座だ! 魔王! 僕と一緒に玉座に隠れましょう! それしかありません!】


「なるほど! 盾代わりというわけだな!」


 仕事が早い魔王は早速僕を後ろから押す。満月が間近なので僕も自力がいくらか効き、玉座の真ん前まで直ぐに来た。そのまま魔王は玉座を動かして2人とモーラスの間の遮蔽物とする。ちなみにモーラスはアドバルーンサイズまで膨張し、破裂寸前だ。


「ミレーナも早く逃げろ!」


「わかってますって!」


 未だにヘドロのようなモンスター相手に戦っているミレーナが、後ろも見ずに怒鳴り返す。


「伏せろ!」


 魔王の絶叫と同時に、遂にモーラスが百雷のごとき咆哮を発しながら爆散し、内部から凄まじい力の衝撃波が放射状に射出された。その破壊力は謁見の間全ての装飾品をなぎ倒し、石の床にヒビを入れ、玉座を貫かんばかりに走り抜けた。


「ぐおおおおおおおおっ!」


【うがあああああああっ!】


 僕と魔王は抱き合って(というか魔王が僕にしがみついて)共に喚き、震え、怯えた。モチモチしてそれでいてしっとりとした豊かなおっぱいがブラ越しにいろんな箇所に当たるが、正直言ってそれどころの騒ぎではない。


「も、もう少しの辛抱だ! 大丈夫か、ムネスケ!」


【な、何とか持ち堪えています! 魔王も頑張ってください!】


「おうよ!」


 荒れ狂う暴風雨の中で揺れる絡み合った二本の木のごとく、僕たちは互いを支え合って、励まし合い、ただただ脅威が去るのを待った。ミレーナがどうなったのか気にはなったが、確認する余裕すらなかった。


 その時、遂に鉄壁を誇る玉座の背もたれがゴキッという音と共に一部欠けたかと思うと、僕の身体を直撃した。


【うげええええええっ!】


 そのまま僕はひっくり返ると、茶色く淀んだ水の中へと転がり落ちていく。我ながらこれはちょっとヤバいのではないか?


「ムネスケーっ! 死ぬなーっ!」


 魔王の悲鳴が、僕の意識が闇に落ちる前に最後に聞いた言葉だった。


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
ムネスケ! 支え合ってって、オメェは手ないやんけ(´;ω;`)!!
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