第100話 謁見の間の死闘 その15~祝・百話達成!おっぱいおっぱいおっぱい!~
「しかし、これは相当潜らねばなりませんね……」
「ほれほれ、メイド服を脱がないと濡れてしまうぞ。なんなら我が剥ぎ取ってやろうか、ミレーナ?」
魔王の目つきがエロオヤジ化し、右手がワサワサと迫る。やっぱこのエロ魔王ドSでド淫乱だわ……。
「結構です! 自分でやります!しかし、なんだかしょっちゅうこの邪悪な有害指定白箱の前で下着姿になっているような気がするんですが……」
【確かにそうだけど僕のせいじゃないですよ!】
「どうだか……」
僕をジト目で睨みつけながらも、すみやかに脱衣を終えて例の真紅のブラとパンティ姿となったミレーナは、「では、行ってまいります。各々方、そこから一歩たりとも動かないでください」の一言の後、ピンと背筋を立てると大きく息を吸い込んだ。直後、石床を蹴ると、トビウオのごとく勢いよく即席の室内プールに飛び込んだ。そして白い軌跡を描いてグングン遠ざかっていく。見たことのない遊泳法だ。
【大丈夫ですかね、彼女?】
「ま、大丈夫だろ。あやつは格闘技の他にも、水泳、短中長距離走、重量上げ、剣術、槍術、棒術、弓術、馬術、投石、木登り、吹き矢、スイカのタネ飛ばしなど、運動なら何をやらせても向かうところ敵なしの天才だぞ。もっとも無理矢理爆乳化してからは全てにおいて以前のような切れがないがな、ハッハッハッ」
【聞こえていないだろうからってひどいこと言いますね! でもどんどん沈んでいきましたよ】
現在ミレーナは海女のように素潜り中で、水底に転がっている松ぼっくりに急接近している。
「腕力で強引に突き進んでいるようだな、さすが四天王のリーダーなだけはある。でも今度からモーラス抜きの三天王か……いささか語呂が悪いな」
【辞めさせる気満々ですね。三兄弟とかじゃダメですか?】
「それを言うなら三姉妹だろう! ところでラブコメ漫画の三姉妹モノって結局主人公の男は次女とくっつきやすいよな……」
【はあ……】
僕たちがくだらないことを話しているうちに、ミレーナはいよいよモーラスの籠る松笠までたどり着くと、その突き出した頭頂部をグイッと鷲掴みにしてゴキゴキと引っ張りだした。
【あのまま曳航してくるつもりですかね?】
「……我はなんか途方もなく嫌な予感がしてきたぞ」
【……は?】
聞き返そうとしたとき、僕は信じられないものを見た。ミレーナは力任せにモーラス松ぼっくりを持ち上げると、なんと豪快に水面めがけてぶん投げたのだ! ひでえ!