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68.魔導具店での依頼2



 あたしはカウンターの奥の扉を開けたところで思わず無言で閉めてしまった。くーすけとこたろうも開けた後5秒程固まって無言になり、あたしが扉を閉めるとまた話しだした。


『(なんかやべぇ人間いなかったか?芋虫持ち上げて笑いながら回ってる奴…?)』


『(なんか散歩中にたまに見かける芋虫の白いバージョン抱き上げてくるくる回ってる人間いたね〜?)』


「あんた達にも見えたってことは幻覚じゃないみたいね…?」


 そう、扉を開けた瞬間にあたし達が見たものは、元に世界でも見るけどなかなか見ない気まずい光景だった。


「うふふふふ、マルベリーは今日も糸をたくさんありがとう!シャンタンは今日もプニプニな体が癖になる〜!タッサにシフォン、葉っぱが足りないかい?あげるから喧嘩しないで食べてよ!シャルムーズは今日も甘えただね〜!コットンもいつも通りたかいたかーいしてあげ……る………よ?」


「………」


『『(………)』』


__キィ……パタン…


 部屋の中に5、6匹入る白い芋虫のような生き物とその内の1匹……話してる感じ“コットン”と呼ばれた芋虫を抱き上げてくるくる回り、扉を開けて固まっていたあたしに気づいた途端に向こうも固まった。

 そしてあたしは頭の中で2匹も同じく固まっているのを感じながらとりあえず扉をそっ閉じして今に至る感じね………そう、あれは夢じゃなかったのね…?


『(多分あの人間と一緒にいた芋虫は元の世界で言う俺様達みたいにあの人間のペットなんだろ…

 そしてあの人間は元の世界でも存在は知っていたが、あそこまでのは滅多にお目にかかれないタイプの親バカならぬ“飼い主バカ”ってやつだろ…?)』


『(ボクの飼い主もあそこまでの発作はないよ〜?)』


「あたし達は何も見なかった……良いわね…?(小声)」


 そうして店から出て出直そうと思った時、さっき閉めた扉から勢いよくさっきの人間が飛び出してきて「待って!いや、お待ちください⁈」と若干さっきの素が出てるけど、引き留めてきましたわ。

 おそらくすぐにあのペット達への挨拶を終わらせて飛び出してきたようで、さっき見られた事に赤面をしてるのも分かるわ。


「えっと、とりあえずボクは何も見てないよ〜」


「明らかに見てましたね⁈……ゴホン、失礼しました。あれはほんの少しだけ使い魔達とスキンシップをしていただけですので、気にせずご用件を」


「う、うん。ボクはギルドから依頼で来たんだ〜…」


 ここでくーすけっぽい口調を崩さず話せたあたしは自分でも凄いと思うわ…あたしめちゃくちゃ動揺しておりましたもの…

 そうしてあたし達はやっとこの魔導具店に来た目的の本題に入れて、魔導具の試着をするという依頼を始めれそうだわ。


「試着を頼みたい魔導具は服になっており、それを着てもらった際の着心地と動きやすさ、魔導具としてしっかり機能するのかを試してもらいたいのです。

 服の素材の一部にはわたくしの可愛い使い魔達が作り出した糸を使っており、軽くて頑丈なので貴族達の間でも暗殺対策に人気なのですよ!」


『(暗殺って殺しに来るやつだよね〜?貴族の人って大変だね〜?)』


『(軽くて頑丈ってのは俺様達みてぇな冒険者でも良さそうだな…?)』


 後半でペット自慢みたいのが入った気がするけど、魔導具というかそういう効果を付与した服の試着が依頼のようね?

 それにしてもあの芋虫みたいな子達って元の世界の蚕っていう服の素材になるらしい虫みたいなものかしら?

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