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55.無機物ですらも動く物は動く



〜チョコside〜


「それじゃあ次はこたろう君、これはなんて読むかな?ヒントは絵の果物なのだよ!」


「パイナップルだな」


「それじゃあ次はくーすけ君、この絵を意味する単語を書いてみて」


「え〜っと、ひまわ……あれ?“り”ってどう書くっけ〜?こうかな〜?」


『(“り”だけ逆だな)』


「惜しいのだよ。正解はこうなのだよ」


 あたし達はルーイさんが持ってきたこの世界のあいうえお表と絵本で文字を教えてもらい、あたしは元々日本語がある程度読む事が出来たからすぐに覚えて、他の2匹が人格を交代しながら問題に答えているのをぼんやり体の中から眺めていると、図書館の中で何かが飛んでいるのが視界の端見えたわ。

 窓が開いている場所もあるから鳥でも入ってきたのかしら…?


『(あら…?気のせいかしら?本が鳥のようにパタパタ飛んでるように見えましたけど…?)』


『(えっ⁈どこどこ⁈)』


「?…どうしたんだいこたろう君?」


「……なんかチョコが鳥みたいな本を見たんだとよ」


 あたしの一言で同じく精神でいたくーすけが表に出ているこたろうの視界を見て探していて、こたろうはこたろうで中で騒ぎ始めたあたし達の事をルーイさんに伝えたみたいだったわ。


「鳥みたいな本…?あぁ、それはこの世界での本の返し忘れ防止の魔法だね。本には全部放置されて一定時間経ったら図書館の自分の収まる位置に勝手に帰っていくのだよ!

 今使っている絵本なんかもずっと触らずにある程度時間が経ったらパタパタ帰っていくのだよ!」


「そういやこの世界、魔法で何でもありだったな…?」


『(延滞料金ってやつがかからなさそうで良いわねそのシステム)』


『(チョコちゃん延滞料金って何〜?)』


『(例えば1週間借りたら返さないといけない物を、1週間以上借りたままにするとその分のお金を払わないといけないことね)』


 どうやら、この世界は魔法があるから魔法を使った便利道具があったり、紙に魔力を吹き込んで鳥にして伝言メモを飛ばす魔法使いも多いそうよ。

 その伝言メモのことをメモの鳥で“メモ鳥”って呼ぶらしいけど、メモ帳と掛けられてるのかしら?


「他にも料理をトレイに乗せて飛ばしたり、郵便は全部郵便局で魔法をかけられて手紙や荷物が鳥やら犬やら猫やらの動物になって、住所のところに自分で行っちゃったりするのだよ!」


『(街中を飛んでる鳥や何処かに走っていく猫がいるとは思いましたけど、もしかして何匹かはそれかしら?)』


「そういえば、1回どう見ても折り紙みてぇな鳥が飛んでたような気がするな…?気のせいかどっかのガキが風で飛ばしたかだと思ってたぜ」


『(2匹共そんなの見てたの…?なんでボクには教えてくれなかったの⁈)』


 くーすけはどうやら動く物に全部目移りしていたから視界には映っていたようですけど、完全に認識はしていなかったようね…?

 歩いたり物や人にぶつからないようにしたり、さらには目的地の場所を探すのを全部集中してるからそれ以外に意識が向きにくいのかしら?あたしとこたろうは普段は五感に集中していて体を動かすのをくーすけに全部任せてるから、その分くーすけの見落としに気付きやすいのね…?


「くーすけの視界に映ってるから気づいてるもんだと思ってたけど、意外と視界の主が1番気付いてねぇんだな?」


「んんん?3匹の中で一体どんな会話が…⁈気になるのだよ…」

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