3.とあるあたしのプロローグ
「チョコ、次はこの服ですって!あなたはどっちの色がいいかしら?」
『あら?あたしに選ばせるの?それならこちらの青に黄色の模様が入った服がデザイン的にもあたしの美しい毛並みに合うと思いますわ!』
「あら!こっちがいいのね?じゃあこれ用のセットを用意してもらったら撮影始めましょうか」
あたしはチョコ、黒柴のチョコよ。今はあたしの飼い主の美優ちゃんと一緒に犬用ファッションモデルの撮影をしているの!
あたしの飼い主もモデルをしていて、スタイルも良くてあたしの美しい毛並みを常に最高の状態にする為に、毎日のブラッシングや食事の管理までしてくれるいい飼い主よ。
「じゃあチョコ、ここで“おすわり”」
『ふふん!あたしはもうこのお仕事で喜ばれる方法をバッチリ理解してるわよ?あの“かめら”ってやつの方を見て美優ちゃんの言う通りのポージングをすればいいのでしょう?』
__カシャッ!カシャカシャッ!
「チョコちゃん今日もいいね〜!流石美優ちゃんの愛犬なだけあってもうペットモデルとしての風格出てきてるよ〜」
『ふふふ、当然よ!なんたって美優ちゃんの完璧なお手入れのお陰でこの完璧な毛艶が生まれているのですもの!』
「チョコは女の子ですから、シャンプーなどもチョコに合うものを厳選して毎日ブラッシングなどのお手入れもして常に可愛く美しい自慢の飼い犬として見栄張りたいじゃないですか?」
「ハハハ!相変わらずここ数ヶ月で一気に犬馬鹿芸能人の仲間入りだね〜」
そうやってあたしは今日も美優ちゃんと一緒に芸能界でペットモデルとして日々活躍しているのよ。
確かあたしのこの撮影が終わったら、次は美優ちゃんの方の撮影で別のスタジオの楽屋に行くのだったかしら?ペットモデルとして飼い主でありモデルの先輩でもある美優ちゃんの仕事ぶりはしっかり見てないといけませんわね〜?
「チョコ、次の私の撮影まで少し時間があるからその間に少しブラッシングしてあげるわね」
『あら、丁度服の脱ぎ着で毛が少し乱れてしまったのでいいですわね!』
そして撮影が終わって次の楽屋に向かっている途中、美優ちゃんにそう言われた為あたしは楽屋につき次第いつものお手入れセットの中からいつものブラッシングを咥えて出し、美優ちゃんにブラシを渡して側に寝転がった後、美優ちゃんのブラッシングを堪能していたらそのまま気持ち良すぎて美優ちゃんの撮影が始まる前に夢の世界へといってしまう…………
……はずだった。
__ピチョンッ!
『冷たい⁈…あれ?ここどこ⁈』
『……?んだようっせぇなぁ…?俺様の眠りを邪魔すんじゃねぇよ…』
『……?あら?ここはどこですの?あたしは楽屋の中で寝ていた筈なのですけど…?』
急に騒がしい声で目が覚めると、楽屋で寝てる筈なのに硬い地面で寝てるし、右隣には知らない犬が2匹いるしでなんか動きにくい………あら?
『体がくっついてるぅぅぅ⁈⁈⁈』
『あぁ⁈どうなってんだこりゃあ⁈』
『ちょっと変に暴れないでくださらないかしら⁈あたしの美しい毛並みが汚れますわ⁈』
なんとあたし達は………頭は3つあるけど体が1つの変な生き物になっていたのだった。