2.とある俺様のプロローグ
__おぎゃあ“あ”あ“あ”あ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”‼︎‼︎‼︎
「こたろう〜!ちょっとお母さん手が離せないからリク君を見てあげて〜!」
『チッ…仕方ねぇな…』
俺様はこたろう、黒柴のこたろうだ。今うるさく泣いてるのは俺様を飼ってる家のガキの1人の“リク”ってやつだ。
こいつはこうやって泣いてるときにこいつの母親の手が離せない時は仕方なくあやしてやってる。
「こたろう〜!これつけてかわいくしてあげるね!」
『そんなリボン誰が付けるか‼︎俺様はオスだ‼︎そしてそんなの付けてくるならこいつあやせ貴様が姉だろ‼︎』
そしてこいつはこの家にいるガキのもう1人で“ハナ”ってやつで、俺様はどうやらこいつの誕生日のプレゼントとしてこの家に来たらしい。
「おぎゃあ“あ”あ“あ”あ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”‼︎‼︎‼︎」
「はいはいお待たせ〜ありがとうねこたろう。ハナちゃんはそのリボンこたろうが嫌がってるからやめたげなさい」
「は〜い…」
『ふぅ…や〜っと大人しくなったか』
このうるさいガキ共は度々大泣きしたり俺様を構い倒したりしてくるが、まだ家族だから我慢してる。これが他人ならその腕噛み砕いてやるところだ。
「こたろう〜そろそろお父さんと散歩に行く時間だからおいで〜!」
「はなも〜‼︎」
「こら!もう遅いからハナちゃんはねんねの時間でしょ!」
『ふっ、諦めろ。貴様程度のガキが俺様のペースにはついてこれまい!』
俺様はここの父親にリードをつけてもらい、こいつを引きずり回す勢いで外に駆け出すのだった。
「ただいま〜…はぁ、疲れた…こたろうはいい加減外で他の犬に会ったりする度に吠えるのやめてくれ…」
『ふん、俺様にガン飛ばして来るようなデカい犬も俺様にかかればちょっと吠えるだけで逃げていきやがるぜ!』
なんてったって俺様の散歩コースは俺様の縄張りでもあるんだから、そこにいる他の犬共を吠えて威嚇して追い払うのは当然だろ?
そして帰ったら俺様はリビングのソファの上に飛び乗って寝転がり、散歩に行ってる間に寝たガキ共から受けた疲労を癒す為に夢の世界へと向かう…………
……はずだった。
__ピチョンッ!
『冷たい⁈…あれ?ここどこ⁈』
『……?んだようっせぇなぁ…?俺様の眠りを邪魔すんじゃねぇよ…』
『……?あら?ここはどこですの?あたしは楽屋の中で寝ていた筈なのですけど…?』
おかしい…ソファで寝てたのに硬い地面で寝てるし、左隣には知らない犬が2匹いるしでなんか動きにくい………あぁ?
『体がくっついてるぅぅぅ⁈⁈⁈』
『あぁ⁈どうなってんだこりゃあ⁈』
『ちょっと変に暴れないでくださらないかしら⁈あたしの美しい毛並みが汚れますわ⁈』
なんと俺様達は………頭は3つあるけど体が1つの変な生き物になっていたのだった。