1.とあるボクのプロローグ
__ぐぅ〜〜……
『お腹空いたな〜…』
__ガチャッ!
「ただいま〜!くーすけ〜、ご飯すぐ用意するな〜!」
『待ってました‼︎』
ボクはくーすけ、黒柴のくーすけだよ!今は凄くお腹が空いててぐったりしてたけど餌づr………飼い主が帰ってきたからもう大丈夫だね‼︎
__カラカラカラ!
『わーいご飯だ〜‼︎(カリカリカリ)』
ボクは勢いよく器に入れられたご飯を食べ始めると、飼い主も自分のご飯……確か“かっぷらーめん?”っていうやつを作り始めた。
そして飼い主が食べ始める時にはボクは自分のご飯を食べ終わっていた。そうなったら次のボクの行動は分かるよね?
ボクはご飯を食べてる飼い主の膝にお手をして、上目遣いで飼い主の顔を覗き込んで“おはし?”ってやつの先に乗ったご飯をチラチラと見る。
『ご飯わ〜け〜て〜?(おめめのキラキラよだれだらだら)』
「うっ……………これは流石に分けれないから後でおやつあげるな…?」
お裾分けは失敗したけど、おやつのおねだりには成功したよ!
その後ご飯を食べ終わった餌づr……じゃなくて飼い主がボクじゃ届かない場所にある棚の上から大好きなジャーキーの袋を取り出し、ボクに一本くれた。そうそうこの味最高だよね!
「くそ………また負けた……‼︎流石にこのままじゃくーすけがデブ犬に…‼︎
よし、くーすけ!食べてる分運動するために長距離散歩行くぞ‼︎」
『えぇぇぇぇぇ⁈⁈⁈長距離散歩…⁈どんなに疲れて帰ろうとしてもあちこち連れ回されるあの長距離散歩……⁈』
ボクは最近、定期的に飼い主によって家からだいぶ離れた場所まで連れ回されてどんなにくたくたになっても、帰ろうとショートカット出来る道を選んで飼い主を引っ張っても問答無しに延々と歩かされるんだ。
そしてこうなるとボクがどんなに散歩を拒んでもダメなんだよね…
『も、もう歩けないよ……』
あれから約1時間後、ボクはくたくたになった状態でやっと家に帰れた。
「よしよし、よく頑張ったなくーすけ!また明日夜に長距離散歩行こうな?」
『えっ?やだぁ……‼︎ボクは自分のペースで散歩がしたいの……‼︎あんな距離毎日はやだぁ……‼︎』
ボクはぐったりしながら自分のベッドの中に倒れ込むように寝転がり、ふぅとため息をついた後疲れから夢の世界へと行く…………
……はずだった。
__ピチョンッ!
『冷たい⁈…あれ?ここどこ⁈』
『……?んだようっせぇなぁ…?俺様の眠りを邪魔すんじゃねぇよ…』
『……?あら?ここはどこですの?あたしは楽屋の中で寝ていた筈なのですけど…?』
おかしいなぁ〜?ベッドで寝てたのに硬い地面で寝てるし、両隣には知らない犬がいるしでなんか動きにくい………ん?
『体がくっついてるぅぅぅ⁈⁈⁈』
『あぁ⁈どうなってんだこりゃあ⁈』
『ちょっと変に暴れないでくださらないかしら⁈あたしの美しい毛並みが汚れますわ⁈』
なんとボク達は………頭は3つあるけど体が1つの変な生き物になっていたのだった。