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第五話 王立アレス・アカデミア

 俺たちはその日貴族街を早めに抜け出して、王都の図書館へ向かった。目的は情報である。しかし、とてつもなく広い建物の全ての部屋を見て回っても、王立アレス・アカデミアに関する本は一切見つからなかった。


「どうしたんだ?そんなにあの学院が気になるのか?」


テオドナが聞いてくる。


「いや、なんてゆうか俺が学院へ行かなければいけなくなる年にちょうど学院が新しきできるんだから、これも何かの縁かと思って。」


半分ぐらいは本当である。しかし俺が真に気になった箇所は違う。


『今から2年後、10歳になるあなたに!黄金の世代と呼ばれるものたちを教育し、役立てることが当学院の目的です。』


確かにそう書いてあった。今から2年後、10歳になる学年というのは俺に学年のことである。しかしその世代が黄金の世代であるとはどう言うことだろうか。そこが気になって調べたいのだが、アレス・アカデミアに関する資料が本当にない。仕方ないので、自力で見つけることを諦め司書さんに聞いてみることにした。


「すみません、この図書館に王立アレス・アカデミアに関する本ってありますかね。どんなものでもいいんですけど。」


「ああ、それに関するほんなら全部ここにあるよ。」


そう言うと司書さんはカウンターの下の棚から5冊の本を取り出した。


「まだまだ後のことだから少ないけどこれくらいならあるよ。」


おお、一冊でもあればいいと思っていたが5冊も出てくるとは。それにしても


「どうしてそんなところに?」


「ああ、アカデミアの事業は国王の直下命令だから。皆に知る権利はあるけど、こうやって司書に直々に聞いてくるような本気度があるやつじゃないと渡すなと言われているんだ。」


なるほどよくわからんが、つまりあんまり知られたくないことも載っているのだろうか。


「司書さん、これ全部貸してください。」


そう言って俺達は図書館を後にした。



その日の宿で、俺は就寝時間になっても5冊の本を読んでいた。灯りはつけられない為、魂のみで行使可能な魔法である【暗視】を使っていた。その5冊の本は大体同じことを書いていて、正直1冊でも良かった気がするが、まとめてみるとこうなる。


『王立アレス・アカデミアは黄金の世代と呼ばれるものたちを一同に集め、英才教育を行うと言う事業の一環で建てられる。この世代は、2000年前にいた預言者という異名を持つ者によって予知されていた世代である。その中でも四人の天才がいるとされ、人間界最強になるとされる。これらの才をこれから始動する国家の一大事業に役立てることが目的である。』


大体こんなものだ。後には世の預言者がどれだけすごかったかなどが綴られている。それにしても確かにこの預言者というのは実在していたし、会って話もしたことがあるがこんなにも後世に伝わっているとは驚きだ。これまで学んできた人間領の歴史の学び漏れがあったのだろうか。それにしても、国家の一大事業とはなんだ?と、もうそろそろ睡眠を取らないと、テオドナやセリシアに迷惑かもな。


「おやすみ。」


翌日、俺はある相談をしていた。


「父さん、母さん、俺このアレス・アカデミアに通いたい。最高峰のこの学園で色々学びたいんだ。」


正直ダメで元々だ。流石に無理かと思っている。しかし


「いいんじゃないか?」「うんうん、私ねラーザならそういうと思ってたよ。」


は?この二人は息子が遠く離れてしまうというのになんでこんなに楽観的なんだ?


「えっ、もっと引き止めるとかしないの?」


「私たちはね、ラーザの好きなことをして生きていいって欲しいと思っているのよ。」


「そうだぞ、森で拾ったラーザを見た時から、絶対に幸せになってほしいと思っている。何せ親に捨てられるということだけで、人生全ての不幸が詰まっているんだからな。」


俺は正直泣きそうだった。だって、いつも考えなさいに動いているだけだと思ったら、そんなことを考えていたなんて。めちゃくちゃ嬉しい。2000年間で幸せになってほしいなんて言われたことないからな。


「うん、わかったよ父さん母さん、ありがとう!」


「よし、これからは受験に向けて勉強だな。」


そうして俺の勉強生活が始まった。



村に帰ってからは、朝起きる→朝飯を食いながら勉強→勉強→昼飯を食いながら勉強→勉強→夕飯を食いながら勉強よいうサイクルを日々こなしていた。そりゃもちろん、術式のこともしていたがそもそも俺が行使できる聖力とてつもなく少ないため、あまり意味がない。それよりも、人間領の歴史、法律、憲法、地理、社会常識、人間領にしかない薬草の知識などを詰め込むのが大変である。法律や憲法は制定年とその日付け、改正年ならば、その改正理由などを全て詰め込んでいった。村長からは、


「お主、最近頑張りすぎなんじゃなんじゃないか?」


と言われ、貴重な飴玉を日に1瓶丸々くれる日もあるぐらいには頑張った。


そんな生活して一年半が過ぎた。


俺は今一人で王都にいる。


次は明日土曜に投稿予定ですぅ。ご愛読ありがとうです!

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