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第百三十六話 呪層への準備

翌朝俺たちはログハウス内で会議をしていた。


「で、実際呪層ってどうやって行くんだ?」


俺は骨喰に問う。この場には溺結もいるが、シャラルがいる前では堂々と言えない。


『普通に行けるぞ。俺様がいれば。』


「普通にってどういうことだよ…」


『だから普通にだ。現の空間に穴をあけて、呪層を表面に出す。そこから入ればよい』


なんだ、そんなに簡単なのか。なんかもっと専用のゲートがあるものとばかり。そういえば鬼人領であった怨霊も突然消えたよな。


「いや、これ骨喰だからできることだからね。普通は専用の呪詛を練り上げてから門を開くの。」


溺結が補足をする。うん、そんなものだろうと思った。


「あの、その呪層?ってところに行くのはいいんだけど、その、大丈夫なの?中には強い呪いがあるんだよね。」


シャラルの言うことはもっともだ。俺たちでは呪いに対する手立てがなさすぎる。すぐに呪われてゲームオーバーだ。


『安心せい。俺様がいるのだ。そう簡単に呪い死ぬことはない。何せ俺様は呪いを切ることができる。』


しかしその肝心の使用者が俺なんだよなぁ。取り回しには自信があるが、呪いといたら全くの専門外だ。呪いを切るという感覚もよくわからない。


『まあそれもそうか。ではいったん練習するか。この街に呪いを使えるものはいるか?』


最近ようやく冒険者の中にも呪いを使えるものが出始めている。何人かは心当たりがある。


『ほう、思いついたという顔だな。では、できる限りそいつらを集めろ。』


「はぁ、簡単に言ってくれるな。冒険者は忙しいんだぜ。」


そうは言いながらも俺はそのほかにすることもないので、席を立つ。


「シャラル、行くぞ。」


「うん!まずは冒険者協会?」





俺たちが冒険者協会についたころ、すでに結構冒険者来ていた。戦利品を金に交換しているもの、これから冒険に出かけるために依頼を受けるもの、朝から酒場で酒を飲んでいるもの、十人十色だ。


「すみません、依頼を出してもいいですか?」


ちなみに冒険者協会に依頼を出すこと自体は誰でもできる。依頼内容と報酬を提示すればよい。報酬は先払いで、期限までに依頼が達成されなければ帰ってくるという仕組みだ。


「あら、珍しいですね。どういったご用件で?」


冒険者自身が依頼を出すというケースは珍しい。なぜなら大抵のことは自分か、仲間内で解決するからだ。まあ大型魔獣の討伐などは別だが、頻度は少ない。


「なるべく多くの呪術師に協力してほしいことがあります。。期限は今日の昼までで、協力してくださった人全員に金貨5枚でどうでしょうか。」


呪術師というのは呪いを扱う者の名称である。だれが呼び始めたのかは知らないが、いい名前だと思う。ちなみに金貨5枚とは結構破格の報酬だ。頑張って冒険者でため込んできた金を使う時が来た。だれも来なかったら元も子もないしな。


「わかりました。協力してほしいことがあるとのことですが、その危険性などの記述もお願いします。」


「危険性はほぼなし。あ、あと条件として、危険度3の魔獣を自分の呪いだけで倒せる人も追加でお願いします。」


流石に弱い奴が来てもらっても困るしな。危険度3相当を倒せるものなら安心だろう。


「はい、では報酬の前払いですが、大体5名程度来ると予測されます。」


「じゃあ少し余裕を持たせて金貨35枚、7名分渡しておきます。足りなければ後で払いに来ますので。」


「確かに預かりました。では、依頼を掲示板に張り出しますね。」


そういって受付の人は掲示板に紙を張り出す。しかしやはり冒険者も街だ。依頼の数が多い。何せ遠方の貴族がわざわざ依頼をこの街に出すほどのものだからな。


「よし、じゃあ昼まで待機だな。」


俺たちはエントランスのいすに腰掛ける。


『ほう、そこそこに強い奴らもいるのだな。ここには。』


骨喰が小さな声で言う。


「そりゃあまあここにいる人間はみんな戦闘を本職としているからな。強くないとやっていけないんだ。それにここら辺には強い魔獣が多く出るし。」


『いいねぇ。どうだ、暇だったらちょっと魔獣とやらを狩ってみないか?』


そんな戦闘狂の声は無視だ。俺はシャラルに質問する。


「最近魔法の進捗はどうだ?」


「うん、治癒の魔法も順調だし水属性の魔法も使えるようになってきてるんだ。」


それはよかった。シャラルはどうも術式の才能がないらしく、最初は苦労したのだ。水属性を学ばせてるのも制御が比較的楽だからだし、治癒はほかに比べれば多少は才がある。


「しっかし、なんでかね。」


俺はシャラルの体を観察する。聖力の流れが悪いわけではない。聖力器官も十分発達してるし、コツさえつかめばもっと成長できるだろうに。いったい何が悪いのか。


「んー、やっぱりこれかな。」


俺はボソッと呟く。実はまだ誰にも言っていないのだが、シャラルの魂にはどこか違和感がある。いや、何が他のと違うのかなんて全然わからないがそれでも何かが違うと感じるのだ。


「あ、あの。すみません。依頼を見てきたものなのですが。」


いつの間にかそんなに時間がたっていたらしい。後ろを振り返れば、俺の知っている呪術師が6名立っていた。

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