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第九話 魔帝、やらかしてしまう

 正直俺は内心うんざりしていた。は?こんなに疲れている状態で、さらにさっきの説明をしろだって?せめて明日とかにしてくれよ。そう思っていると、思わぬところから助け舟が出た。


「試験官、みるところ彼は相当疲れている様子。今日はこれで解散して、また明日にでも話を聞けばいいのでは?」


これを言ったのは、22番の魔術師だ。ありがたい。


「ふむ、確かにそうだな。よし、では今日のあたりはこの辺にして解散とする。34番、君は明日8時に貴族街にある私の家に来なさい。そこできちんと説明してもらう。」


「わかりました。」


そう返事をすると、頷いたあと、ぶつぶつ何か言い始める。それが終わると彼の手には紙が生成されいた。


「これは私の家周辺の地図だ。渡しておく。」


「ありがとうございます。」


そう言って頭を下げて俺が帰路につこうとすると、


「ラーザ君!」


俺を呼ぶ声がした。振り返るとこちらに駆けてくる可愛らしい少女がいる。


「どうしたんだ?」


「どうしたんだじゃないよ〜。私心配したんだよ。ラーザ君、もしかしたらあのゴーレムが倒せないんじゃないのかと思って。」


赤い瞳に涙をうっすらと浮かべている彼女の姿はどんな男でも魅入ってしまうものがある。


「そんな訳ないだろ。この俺に限って。」


「そんなこと言ったて、心配だったんだもん。あれが倒せなかったら問答無用で落ちちゃうんだから。」


「へえ、そうだったのか。でも倒せなかったやつはいないから大丈夫だろ。」


「そんなことないよ〜。ってパパが呼んでるわ。じゃあね、ラーザ君。明日うちに来るんだよね?楽しみにしてるからね〜。」


そう言って別れる。別れる時に少し顔を赤らめていたのはなぜだろうか。


「おう、また明日な。」


俺も後ろ向いて歩き出す。そういえばさっき助けてくれた魔術師の姿がもうない。お礼を言おうと思ったのに。まあいいか。とっとと帰って、明日の説明の大まかな流れを考えておかないと。




宿に着いたら、宿主さんが


「おお、帰ったかい。ご飯できてるよ。」


と言ってくれた。出ていく前にリクエストしておいたシチューの香りがする。美味しそうだ。


「いただきます。」


うん、セリシアが作るものに比べたら味気ないが、十分に美味しい。3杯のおかわりをした後、代金を支払い俺は自分の部屋のベッドにダイブする。


先ほどくれた地図をポケットから出しながら俺は


「ふう、今日は疲れたな。明日のことを考える前に少し仮眠とるか。」


と言い、眠りの中に落ちていくことにした。




はっきり言おう、俺は盛大に寝坊をした。仮眠のつもりで取った睡眠は仮眠では収まらなくなり、起きた時には翌日の7時40分と言う始末だ。俺は大急ぎで宿の出口へ行く。


「おい、兄ちゃん、飯は?」


宿主さんが聞いてくるがそんなもの食べてる余裕はない。


「すまん、今日はいらんわ。」


そう言って入れは貴族街目指して走る。貴族街についたので俺は早速もらった地図を出そうとポケットの中に手を入れたが、、、、


「無い!?」


無いのである。どこにもない。そういえば昨日地図を出したまま眠ってしまった気がする。まさかその時に落としてしまったのか。貴族街に設置されている時計を見る。7時55分。まずい、今戻っている時間はない。仕方ないので俺は貴族街の中を走って探すことにした。と言っても当てがないわけではない。俺は何度か貴族街を散策したことがある。その時に通りかかった貴族の屋敷の表札は全て記憶しているのだ。そしてそこの中に『メーティス』と書かれたものはなかった。つまり俺が行ったことなあるところにアテナの家はない。だから俺は貴族街で俺が言ったことない通りを重点的に探す。そしてついに、


「あった!」


見つけた。『メーティス』と書かれた表札のある屋敷。見上げると相当な大きさの屋敷である。おそらく貴族の中でも位の高いものだろう。時計を見ると8時13分。13分の遅れだが、18分で目的の家を見つけたのだ。上出来だろう。早速ノックしてみる。


「すみませーん。ラーザというものなんですけど、誰かいらっしゃいませんか?」


そうして少し待っているとドアが開き、


「遅いよ〜。」


と言って出迎えてくれているアテナの姿があった。可愛らしい部屋着を着ている。そしてその奥には、俺の目的の人であるアテナの父親…と、そしてもう2人。


「ん?どうして君達がここにいるんだ?」


それは昨日、俺に助け舟を出してくれた魔術師の少女と恐ろしい練度の剣技を使う少年の姿があった。

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