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第百二十二話 初の依頼

翌朝、久々にぐっすりと寝た俺たちはとてつもなく簡単な朝ご飯を食べたのち、冒険者協会の本部へ向かった。


「お邪魔しまーす。」


朝早いため中はまだ閑散としているが、受付嬢とエルヴィスはいた。


「お待ちしておりました。ラーザ様、シャラル様。冒険者協会にご入会していただきありがとうございます。」


エルヴィスが丁寧にお辞儀をする。


「いやいや、そんなにかしこまらなくてもいいよ。こっちも頼ってる身なんだから。」


「しかし、お二人はドレーク様の客人ですから。」


つまり、立場上このような態度ということか。それなら良いが、今後ともずっとそれだったら結構厳しいものがあるぞ。


「では、こちらが協会の入会証になります。この入会証には専用の術式が込められているため、これを見せれば協会員のだれかというのを読み取ることができます。しかし、読み取り方法は社外秘なので申し上げできません。」


そういわれてそれぞれにカードが手渡される。


「わあ、ありがとうございます。」


これを受け取ると一気に冒険者という感覚がするな。


「シャラル様の初期冒険者ポイントは0からです。しかし、ラーザ様のものは…」


まあ俺はテストもしたしな。3000くらいあれば妥当じゃないか。


「7300になります。」


「ふぁ!?」


思わず声が漏れてしまった。俺ってそんなに高得点だたのか。


「では、お二人の活躍を心から願っております。」


そう言って階段を上っていくエルヴィス。後ろでは受付の方々がひそひそ話をしている。いや、したくなる気持ちもわかるわ。なんだよ7300って。普通におかしいだろ。


「じゃ、じゃあ依頼受けますか。」


俺たちは掲示板へと向かう。ここには今ある依頼が張り出されいてそこの紙をとって受付までもっていくと依頼を受けることができる。


「うーん、シャラルと一緒に受けるとなると数が限られるな。」


当然冒険者ポイントが低いものがいれば受けられる依頼の難易度は下がる。殊更彼女は0なので俺がいくら高くてもなかなか少ない。


「じゃあこれとこれと…あとこれだな。」


俺は3つほどの依頼を選ぶ。森へ行っての採集系や弱い魔獣の素材回収だ。


「これ、お願いします。」


俺は受付に紙を手渡す。


「はい。マーダスダケ100本の収集、コボルト群れ掃討、イノスビーの針10本ですね。警告しますが、冒険者ポイント0の方と同伴の場合、コボルト群れ掃討では細心の注意を払ってください。」


そう言いながら地図を取り出す。


「今回のコボルトの群れはこの地点にねぐらがあります。では、お気をつけて。」


深々とお辞儀をする。


「ありがとうございます、よし、行くぞ!」


俺たちは協会自治区の中にある森へと向かった。





「というかマーダスダケって何に使うんだよ。毒キノコだぞ。」


俺はちょうど100本目となるマーダスダケをバックに詰め、ぼやく。


「まあいいじゃない。この簡単な依頼だけでポイントとお金がもらえるんでしょ。」


しかしこれが中々見つけづらかった。100本って普通に多すぎたな。だいぶ時間を食ってしまっている。


「そうだけどさぁ…よし、次はイノスビーを探そう。」


「そういえばイノスビーってどんな魔獣なの?」


説明してなかったかな。危ない。実は結構気持ち悪い見た目だから説明しておかねば。


「イノスビーっていうのは蜂型の魔獣のことだ。戦闘能力自体はめちゃくちゃ低いし、一つの巣にも10匹前後しかいないから初心者御用達の魔獣なわけだが。一つ難点を言えば見た目は最悪だ。」


「見た目が最悪?どういうこと?」


「まあ見ればわかるさ。」


俺たちはイノスビーの巣を探す。といっても闇雲ではなくまずはこいつらが好む花の群生地を探せばおのずと発見される。


「おっ、これこれ。」


黄色い花が咲いている。とするとこの近くにあるはずだ。


「あった!あれじゃない?」


「シャア!」


シャラルの肩に乗っていたアルケニーも声を出す。俺がそっちのほうを向けば確かにイノスビーの巣だ。周りにいるのを数えて8匹。中は女王と側近の2匹は確定しているのでこいつらを倒せば依頼完了だ。そして、


「うっ、気持ち悪い。」


シャラルが呟く。うん、本当に気持ち悪い。蜂とは思えない細い体と長い脚。そして異様に大きい複眼。


「まあ慣れだな。この先いろんなやつがいるから…」


俺もできれば近づきたくないが、そんなこと言ってられない。


「じゃあまずは手本を見せるぞ。」


俺は外にいるイノスビーどもに近寄る。こいつらは警戒心がほとんどなく近づいても気に留めない。


「これを…こう!」


俺はそこらへんで拾った枝を勢いよくたたきつける。イノスビーはその衝撃で死んでしまった。


キィィィ


仲間が殺されて怒ったのかこちらを睨みつけてくる。本当に威圧だけはすごいんだから。


「まあこんな感じだ。あとはシャラルが攻撃してくれ。俺が攻撃を受け持つから。」


「えっ、どういうこと?」


「大丈夫!背後から振り下ろせばお前でも倒せる。」


「う、うん。やってみる。」


恐る恐る近づいてくるシャラル。


「ちなみにどうやって攻撃を受け持つの?」


溺結が聞いてくる。


「なあに、これを使えばいい。【コレクト・ヘイト】」


俺は結構弱めの術式を行使する。しかしこいつらは弱いのでこれだけでも効果は絶大。こいつらの注意は一生俺にしか向かないだろう。


「よし、じゃあがんばれ!」



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