果てなき旅
一定のリズムに揺られていると、眠くなってくるのはなぜだろう?
そんなどうでも良いことを考えてしまうほど、駅の売店で買った本はつまらなかった。それでも、暇つぶしのために読んでいたが、目が疲れてきたため、本から顔を上げて片手で目頭をほぐす。
車内はとても静かだった。
静かだからといって僕一人しかいないわけじゃない。
まばらだけどちゃんと人がいる。
ただ、みんな何かをしているようだった。乗車口の近くの席にいるサラリーマンはパソコンを開いているし、頭が薄くなっているおっさんは新聞を読んでいる。派手な毛皮のコートを着た女は、これでもかと鏡を見ながら顔を作っている。
本を閉じ、外を見る。
刈り取られた残骸が残る田んぼ。
瓦屋根の民家。
電線。
それらが横に流れて行く。
それらに興味があるわけでもなく、代り映えのしない景色を眺めていると、分厚い雲の隙間から陽光が差し込んでいることに気付いた。
それは舞台のスポットライトのように、いくつも降り注いでいた。
あの光の下にはなにがあるのだろう。
天使の梯子。
そう、呼ぶことをどこかで聞いた。
確かに、空高くから天使が降りてきそうな雰囲気ではある。僕はこの神秘的な光が好きだった。特別なわけもなく、ただ目を奪われてしまう。光に見惚れてしまう。
天使が本当にいるのだとしたら、あの梯子を使っているのだろう。
でも、天使は何を運んでいるのだろうか……。
何も分からないまま、僕は進んでいく。
僕の到着駅はどこなのだろう。
頭に浮かんだ疑問を振り払うように、面白くもない本を読みだした。
了