表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

中年おやじは死んで戦わされる⑤

 

「おーい!終わったから起きていいぞ!!」



「やっとか~、この態勢疲れるんだよな」

「久々に空の民と話せて良かったな。」

「いいなー。俺なんか隅っこで1人、矢が刺さったふりしてて寂しかったよ」

「お母さん、僕の演技見た?すごいでしょ!」


 死んだはずの兵士や村人が次々と起き上がっていく。服は血まみれ、頭や胸には矢が刺さったままだ。


(ん?、ん?んんんん?ちょっと待て。死んだはずだよな、お前ら。ゾンビ?)



 まさか生き返るはずがない、あんなに悲惨に死んでいったんだ。のろのろと近寄っていけばこちらに気づき話しかけてくる。


「おっ、テッラ様の獣だ!なんだ心配してくれるのか??」

「大丈夫だ、俺らも空の兵も誰も死んじゃいないぜ。いつもこんな感じだ、大抵本気になるのはシェル様とテッラ様だけだな!」

「お前、怪我してるじゃないか大丈夫か?」


(い、いぎでてよがっだぁぁあ!!)


「なんだ、なんだ。痛いから噛むなって!!」



 ◇


 とりあえず誰も怪我もなければ死んでいなかった。モンスター共の喧嘩はしょっちゅうあるようで、そんなことで死んでたまるかと戦っているふりをしているらしい。強いて言えば被害があったのは俺だけだった。


 その俺は今、角モンスターと戦っている。


「おい、怪我の手当てをしてやる。隠れていないで出てこい」


(バカ野郎!!手当てと称して傷口に塩を塗る気だな!!手に持ってるのって完全に塩だよね?というか、さっき塩って言ってたからね!)


「これを塗ればすぐに治る。遥か昔、人間の世界があったときこの塩というものを塗っていたらしいぞ。傷口に塩と書物に記してあったからな。」



(いやいや、バカなの?えっバカなのかな?それはことわざって言うんですよ、書物に記してなかったの?)


「民も兵もみなこれを塗っているのだぞ。神であるこの私もな。」


(わーお、みんな傷口に塩を塗ってるんだ。そりゃ強くなるわけだ、でもな俺にとっては拷問でしかないからやめてくれ!!まてまて、神って言いました?このモンスター神なの!?)




 攻防の末、甲羅を剥がれそうになりやむ無く塩の拷問をうけた。この時俺はまだ気づいていなかった、俺の体が光り輝いていることを。



「む、お前。薬のお陰で以前より輝いているな」


(この自称神様は何を言ってるんだ。甲羅だろ、光が反射してんだよ。って、えええ!!!!俺すごい光ってるけど、死ぬの?死ぬときが来たの?)


 俺の体は輝きを増し、目の前が眩しくて何も見えなくなった。うっすらと目を開ければ、俺はカメではなくなっていた。


 いや、正確に言えばカメだ、緑の全身タイツに甲羅を背負ったキモいおっさんに変わった。


「きもっ!!気持ちわるっ!!全身タイツだろこれー!!!!」




 田中まもる 中年サラリーマン(亀)

 全身タイツ亀人間 進化 Lv,100



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ