大福餅
我々は皆
ほっぺたに大福餅をぶらさげて
まるで笑顔が作れない
大福餅がほっぺたを引っ張って
うまく笑うことができない
僕たちは
どす黒く生温かいアンコをつめた
大福餅をぶらさげて
笑いも出来ずに
長方形の間を彷徨う旅人だ
ぼくらは
笑いたいけれど
ほっぺたが重たいから
みんな作り笑いになって
またアンコが重たくなる
歯医者に行ったって取れっこないの
だって歯医者も大福餅なんだから
みんなみんな
大福餅ぶらさげて生きてるんだから
でもたまには
ゆっくり大福餅と向かい合って
少しずつ不器用に
アンコを減らしていこうよ
すこし減っただけでも
笑えるようになるから
大福餅は誰にでもある
誰にでもある厄介なものだけど
ずいぶんと長くいるもんだから
自然と愛着がでてきた