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「確かに恋人だけど、そんな四六時中一緒にいたら、気持ち悪いじゃないか」
爽やかイケメンスマイルで、とんでもない一言を放つのは、本当にわたしと血の繋がりがあるんだろうか?
一瞬、真面目にそう思った。
…でも顔を見れば、一発で分かること。
「実の妹とは四六時中一緒にいて、気持ち悪いと思ったことはないの?」
「ないな。だって魅桜はオレの妹じゃないか。血の繋がった家族を、そんな風には思わないよ」
…いや、そっちの方が問題だと思う。
いつまで経っても妹離れできないどころか、日に日にシスコンぶりは悪化の一途を辿っている。
そのせいで、わたしは未だにちゃんとした恋人がいない。
兄に内緒で付き合ったことはある。
でもいつの間にか気付かれ、引き裂かれた過去はすでにトラウマとなってしまった。
「それともスイーツでも食べに行くか? あっ、アクセサリーを見に行くのも良いな」
わたしは良くない!
「ねぇ、お兄様。いい加減、妹離れしたら?」
「いや、ムリ」
瞬時に笑顔で否定しやがった!
「お前のことは、お袋のお腹にいた時から知っているしな。これからもずっと見守っていきたいんだよ」
兄は優しく微笑み、わたしの頬を撫でる。
「お兄様…それは正直言って、嬉しくないわ」
「えっ!? 何で?」
「とっととお兄様が結婚して、甥か姪でも生まれた方が、わたしは嬉しいもの」
「んなっ!」
「そしたらわたしも安心して、結婚することができるもの」
「そっそんな…」
本気でショックを受けた兄は、真面目に落ち込んでしまった。
けれど突如顔を上げた瞬間、とんでもない言葉を言いやがった。