2
「…ただの勘だったんだけどね」
だからあっさり答える。
「そうなんだ。まあ誘われたけど、大しておもしろくもなさそうだったし、お前との約束があるからな」
「どこへお誘いをされたの?」
「何でも今日、彼女の家でホームパーティーが行われるそうなんだ。それで彼女のパートナー役をしてほしいってさ」
麗華さんは旧財閥のお嬢様。
一言でホームパーティーと言っても、かなりの有名人が出席することは明らかで…。
「こっ断ったの?」
「もちろん。オレがお前を優先させないことなんて、ないだろう?」
真面目な顔で言うなー!
別の意味で顔を潰したクセにー!
…と声を大にして言いたかった。
彼女のホームパーティーの出席者ならば、将来の良縁になりそうな人達がたくさんいただろうに…。
「それで麗華さん、怒っていなかった?」
「いんや、がっかりはしていたみたいだけどな」
「…もう、終わりかしらね」
「そうかもな」
兄の言い方は本当にすっきりしている。
これで麗華さんとの関係が終わっても、良いと本気で思っているのだから、タチが悪い。
「あっ、洋服のことなんだけどさ。パーティードレス、買おうか?」
明らかに麗華さんのことからつながったな?
「新作のいくつか出ているだろうし、必要だろう?」
「まあパーティーに呼ばれることは多いけど…」
両親が不在の為、兄と二人で出ることが多かった。
「なら決まり。似合うの、選んでやるからな」
そう言って兄は本当に嬉しそうに、わたしの頭を撫でた。
すると自動的に、わたしは深く息を吐くのだった。