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やることが決まったようです

 

 *



「違う違う違う。俺はロリコンじゃない。違うんだ……」


 屋敷に帰ってからぶつぶつと呟いていたら、侍従の男に心配された。

 大丈夫。俺は正気だ。



 とりあえず、状況を整理しなければならない。


 俺は自分の好きなように生きるつもりだった。

 まだ記憶を取り戻してから少ししか経ってないが、それでもどうしたいか自分でも分かっていたはずだ。


 俺はまず、騎士になりたかった。

 これは記憶を取り戻す前からそうだった。勉強の傍ら剣の鍛錬をしていたし、将来は王宮騎士団に入るつもりだった。

 前世の記憶を取り戻してからも、剣を振りたいという気持ちは変わらない。

 単にかっこいいし、強くなれるのは嬉しい。もしかしたら厨二病に起因するのかもしれないが、理由はなんだっていいのだ。


 変わったことは、王宮騎士団に入らない方がいいと思い始めたこと。

 だってそうだ、王宮騎士団に入れば、面倒な運命に巻き込まれる。


 後は、学園生活でモテ期を送りたいってこと。

 ヒロインが出てきてからというもの、魔女になったスノウベルと戦うことになる。

 そんな面倒ごとは御免だし、自分を磨いて女の子にちやほやされたい。

 とさっきまで思っていたけど、その考えは崩された。


 俺はどうも、スノウベルに惚れてしまったらしい。

 頭をガン! と壁に打ち付けたくなるが、なんとか我慢する。

 だっておかしいだろ、身体は八歳だけど、俺は高校生の記憶がある。

 これじゃロリコンだ。犯罪だ。



 でも彼女に微笑まれた時、確かに喉が詰まるような感覚を覚えたのだ。

 まさか精神が肉体年齢に引きずられているのだろうか。


 あの時、心臓がいつもよりうるさくて、口の中がひどく乾いた。

 理由をつけて別の感情だ、と決めつけてもいいけど。

 思い出すと今も呼吸が苦しくなるから、たぶん、そういうことなのだ。


 でもこれってやっぱり、まずいんじゃない?

 というか俺、恋したことないから、何が正解なのか分かんないんだけど!


「あああああー」

 頭を抱えて(うめ)いていると、あの侍従の男が顔色を変えてやって来る。

「カイン様、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ、問題ない」

 きりっと真顔に戻って返すと、侍従はそうですか、と訝しげな顔をして下がって行った。



 とにかく、こうなってしまったからには、計画は変更だ。

 騎士になる他に、学園でモテ期を送るはずだった俺だが、先にこちらを陥落させられるとは思わなかった。


 色々と思うところはあるが、ここまで来たら俺のすることは、結局決まってしまうだろう。

 学園できゃっきゃうふふな生活は諦めるしかない。放っておけばスノウベルは殺されてしまうのだ。

 助けられるのは、他に誰もいない。


 彼女は生まれながらに強い魔力を持っていて、それが学園で露呈してしまう。

 ならば、それを防げばいい。


 他にも問題な要素は色々とある。

 未来を知るのは俺しかいないのだから、俺が動くしかないのだ。


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