表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犬の散歩友達  作者: MOCHA
6/24

犬の散歩道のベンチ

 一貴(かずき)葉梳姫(はずき)に電話し、いつもより早い時間に犬の散歩道中央のベンチで落ち合うことを約束する。

 一貴はこむぎを連れて足早にベンチへ向かう。ベンチで待っていると、数分後、そらを連れて葉梳姫(はずき)がやって来る。いつものゆる服。


 お互いの犬を交換したり(そらはおとなしくしているが、こむぎは暴れる)、ちょっかいを出したりしている。


 葉梳姫(はずき)が何か思い出したように急にもじもじし出した。

「この前の・・・」

「え?」

「この前の、雨の日に着てた服、どう思う?」

 葉梳姫(はずき)は恥ずかしそうに尋ねる。

 一貴はとっても似合っていたと喉まで出かかるが、思いとどまる。たぶん、彼女はそんな答えを求めてる訳ではないことを察したからだ。

「・・・似合ってたと思う。でも・・・」

「でも?」

 葉梳姫(はずき)は一貴の顔を覗き込む。

「今好きじゃない服をわざわざ着ることもないよ。それに、昔の服じゃ小さくなってるし、体に負担掛かるよ?」

「そ、そうかも」

 葉梳姫(はずき)は思い当たることがあるらしく頷いた。そして、もう一度一貴の顔を覗き込んだ。

「ん?」

 一貴が首を傾げる。

「ううん、何でもない」

 葉梳姫(はずき)は柔らかい表情をした。


 一貴は時計をちらりと見た。

「少し暗くなってきたし、そろそろ戻ろうか」

 一貴は立ち上がった。

「う、うん・・・」

 葉梳姫(はずき)は少し緩慢に立ち上がる。葉梳姫(はずき)の目が何かを訴えているように見える。

(ホントは街灯とかあってそんなに暗くないんだけどね)

 一貴は言い訳めいた心の言葉を吐いた。今日は15分だけだと一貴は心に決めていた。もっと長く話していることもできたけれど、あまり急ぎたくなかった。ただ、葉梳姫(はずき)の不満そうな表情も伺えた。

 一貴はあることを提案してみることにした。

「じゃあ・・・」

「じゃあ?」

「今度、二人で犬の散歩しない?」

「えっと・・・」

「こむぎの散歩してみたら?」

「ぜ、是非!」

 葉梳姫(はずき)が肯定するように諸手を挙げたのを見て、一貴は破顔した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ