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犬の散歩友達  作者: MOCHA
20/24

サードデート

 ウィンドーショッピングしたり、喫茶店でお茶を飲んだりする。

 一貴(かずき)葉梳姫(はずき)が正式に付き合うようになって、初めて隣接する懸吏(かがり)駅前のショッピングモールでデートをした。頭にはベージュのキャスケット、トップスはサックスのやや緩めの薄手のスリーブセーター、ボトムは濃いグレーのいつもより細目(?)のワイドパンツ。下手したら、大学生ぐらいに見える。自分に合わせてくれたのは合わせてくれたのは嬉しいが、普段より体にフィットしたファッションのせいか、すれ違う男の視線を隣りで歩く一貴ですら感じた。特に人通りの多い懸吏(かがり)駅前では人の目を惹いた。

 一貴が帽子はベレー帽の方が似合うんじゃと聞いたら、キャスケットの方が鍔がある分表情が隠せると如何にも葉梳姫(はずき)らしい答えが返ってきた。

 今日は犬の散歩をそれぞれ母親や姉に任せていたので、心置きなく二人で居られる。

 ウィンドーショッピングしたり、喫茶店でお茶を飲んだり、まったりと午後を過ごした。

「また、ペットショップ行きたい」

「そうだね」

 ファーストデートの場所でもあり、犬の縁で付き合い始めた二人には格別の想いがあった。


 結局、家路についたのは、日が暮れてからになった。

 一貴は家まで葉梳姫(はずき)を送った。

「それじゃあ」

「うん」

 一貴と葉梳姫(はずき)を軽くキスをした。

 別れの挨拶は言いながら、二人は手を離せず、なかなか別れ難かった。ずっと午後一緒に居たにも拘らず。

 その時、玄関のドアが開いた。二人は慌てて距離を置いた。

葉梳姫(はずき)ちゃん?」

 女性の声が聞こえた。葉梳姫(はずき)の母親らしい。葉梳姫(はずき)の姿を認め、安心したような顔になるが、見知らぬ男を見て首を傾げた。表情も首の傾げ方も葉梳姫(はずき)そっくりだった。

「あら・・お友達、かしら?」

 何故か意地の悪い顔をされた。

「あ・・・白石一貴と申します」 

 一貴は頭を下げた。二人はばつが悪そうに視線を交わした。

「白石・・・ああ、三陽(みよ)ちゃんの弟さんね」

 元々、3月までは犬の散歩は葉梳姫(はずき)の母親と三陽(みよ)がメインでやっていたのだ。近所ならばお互いに見知っていても不思議はなかった。

「ああ、あなたがねえ」

 葉梳姫(はずき)の母親は含み笑いをした。

「お母さん、もういいから!」

 焦れた葉梳姫(はずき)が母親の背を押し、家の中に押しやった。一旦ドアが閉まりかけ、また開いた。

「じゃ、じゃあ明日ね」

 葉梳姫(はずき)がドアの隙間越しにちょこんと顔を出して笑った。一貴は応えるように軽く手を振った。

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