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犬の散歩友達  作者: MOCHA
2/24

挨拶から・・・

 一貴が犬の散歩でパグに出会ってから数日が過ぎた。

 ほぼ毎日のように犬の散歩ですれ違っていた。学校が終わってからの散歩になるので、その日によってすれ違う場所は微妙に異なる。と言うことは、女の子も帰宅部で、授業終了後に犬の散歩をしているようだ。この季節は6時半を過ぎると暗くなってしまうので、その前に犬の散歩が終わるように心掛けているのだろう。


 さすがに2週間続けて顔を見合わせていると、会釈したり、「こんにちは」と挨拶する仲にはなっていた。しかし、なかなかその先が進めない。お互い、相手の犬が気になっているのは仕種や視線でわかるが、犬どうしがなかなか近づこうとしないため、きっかけを掴めずにいた。一貴も女の子がこむぎに好感を持っているのは視線からもわかる。すれ違った後も、何となく視線を感じる。

(自意識過剰かな)

 とも思う。

 

 最近、こむぎの機嫌が悪いような気がする。特に、散歩の後、言うことを聞かなかったり、眉間(?)に皺が寄っているように見える。あまりパグを見ているせいなのだろうか。気のせいだろうか。元々、ポメラニアン系は飼い主に忠実だが、繊細な部分があって、人に依存し過ぎると我儘になる性向があるらしい。甘やかしすぎると分離不安症になってしまうことも。少し気を付けた方がいいかもしれないと一貴は思った。


 相変わらず挨拶だけの日々が続いた。今年の4月は天候がよく、毎日犬の散歩で出会えるが、雨でも降れば会えないこともある。

「こんにちは」

「こ、こんにちは」

 挨拶は交わすけれど、それ以上の進展はない。

 すれ違った後、こむぎが叢で立ち止まった。一貴はさり気なく振り返った。女の子との後ろ姿とパグのお尻(笑)が見えた。パグは飼い主に寄り添うように歩いている。飼い主が逆におしっこをさせるために叢や木に近づいているようだった。こむぎは我が道を行くで、一貴を引っ張りながら叢や木に突撃するのとは大違いだった。


 翌日の犬の散歩の時、すれ違った直後、こむぎが叢に向かって走り出す。好奇心旺盛なこむぎは舗装された道を外れ、やたらと植樹帯に入りたがる。一貴はリードを一杯まで伸ばし、舗装された道で堪える。一貴はこむぎのペースに振り回されている感じだ。

 その一部始終を、後ろから女の子が見つめていた。

(・・・可愛い)

 彼女はそっと吐息を漏らした。

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