デートの誘い
スマホを手にし、なかなかLINEでチャットできない。しばらくしてようやくLINEに繋ぐ。
犬の話から始め、最近二人で話す時間が長くなってそらやこむぎに負担をかけていることを話す。葉梳姫にも心当たりはあったが、二人で話す時間は欲しかった。
『そこでものは相談なんだけど』
『はい?』
『そらとこむぎに負担掛けないように、二人たけでどこか遊びに行かない?』
『・・・・・』
一貴は何かまずったかと焦る。
『あ、無理だったらいい・・・あれ?』
電話の着信が入る。
いきなり電話が掛かってくる。返事はOK
『夕方に戻れば、犬の散歩もできるし』
『うん』
『で、どこ行こうか?』
『お任せ』
(あ、丸投げしてきたよ)
『それなら、ガイドブックとか見たいから、チャットに戻さない?』
『うん、わかった』
二人は一旦通話を切った。
「参ったな、選択肢が多すぎる」
デートを断られる可能性は高かったが、万が一、万が一にもOKが出されたことを考えて、色々とシュミレーションしておいたのだ(無駄にならなかっただけでも御の字)。LINEを繋ぎながら、机の上にあるデートスポットが書かれている雑誌やパソコンの目ぼしいサイトを見た。映画とか遊園地とかが鉄板だが、その様な施設のほとんどは大抵隣り駅の懸吏にある。夕方に犬の散歩することも考えると(無理に犬の散歩をする必要はないが)、懸吏市まで足を延ばすのは時間的にタイトだった。それに葉梳姫が喜んでくれるところがいい。それも近場で。遠出はまだ一貴的にハードル高い。
『この前遊園地は行ったし』
『うん』
『永嶺さん、スポーツは?』
『運痴』
『(「うんち」のマーク)』
『バ、馬鹿者!!!(怒)』
『ごめん、ごめん、嘘、嘘。・・・じゃあ、スポーツセンターとか無理だね』
隣市の懸吏には室内球技場や室内プールを併設したスポーツセンターが懸吏駅からバスで10分くらいのところにある。
『無理』
菜乃と懸吏駅前は制覇していそうだし、知り合いとバッタリ会う確率高いよなと一貴は思った。
(やっぱ、切り札出すしかないか)
『ペットショップとかどう?』
『ペットショップ!?』
『そう。懸吏市南公園の先に動物病院あるじゃん』
『うん』
『あそこの動物病院、ペットショップを併設してるんだ』
葉梳姫も動物病院には行ったこともあり、ペットショップがあることも知っていた。でも、いつもはそらの狂犬病の注射で動物病院に行くくらいで、そらもすぐ帰りたいと愚図るため、入ったことがなかった。
『へえ・・・』
明らかに葉梳姫は興味を覚えたようだ。
『まあ、いつもの犬の散歩の延長線上って感じでどう?』
『うん、いいよ』
『じゃあ決まりだね』
待ち合わせの日時・場所と、当日は多少汚れてもいい服装でということになった。