第十二話「猛襲! ウロボロス!」③
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第十二話「猛襲! ウロボロス!」③
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「レッドさん…おしゃべりが過ぎますよ…楽しかったのは解りますけどね。」
隅っこに隠れてたメディック二人組を始末し、ついでに最後に残ったちびっこいのをあっけなく打ち倒したカーヤがそんな風に言ってきた。
「ごめん、ごめん…あのトマホーク使いのコがあまりに見事でさ…ついつい、褒めたくなっちゃった!」
「確かに、今のはなかなかの腕前でしたね…多分、ファンタジー系とかのVRMMO経験者なんでしょうね。
あんな変形槍術みたいな武術…ちょっと見た事ないです。
思い切りFランクの初心者だったのに、レッドさんの連撃をいなしてましたからね…。
銃なしだったら、レッドさんでもキツい相手だったと思いますよ。
それより、間もなく敵の増援が来ますわ…それも大物…PKKのミウラって奴。」
確かに、カーヤの言うとおりだった。
レッドもあの娘との決着は…銃に頼らざるを得なかった。
リーチのある武器で、無駄のない動き…勝負を決めたBizonの銃弾も数発叩き落としたのが見えた。
銃撃戦の経験を積んで、銃を併用されたら、恐るべき敵になるだろう…。
「へぇ…そいつ、強いの? それにPKKって?」
「PKKってのは…わたくし達の敵ですわ…。
悪者退治みたいなノリで狩りの邪魔をしにくる正義漢気取りの連中…。」
「やれやれ…わたしらのやってる事なんて、ゲーセンの対戦ゲームで黙って乱入するようなもんだろうに…。
いちいち挨拶とかして、馴れ合いバトルとかそっちのがやってらんないよ。
真剣勝負ってのは、いつだってマジでやるもんだっての…。
そもそも、PlayerKillerなんて、呼ばれ方もムカつかね?」
「わたくしも先輩も武道嗜んでますからね…。
お遊び気分のゲーマーなんかとは、心構えも価値観も違いますわ…。
なので、語り合う必要はありませんし、好きなように呼ばせておけば良いのですよ。
PKKの連中は、むしろやりやすいですわ…あの正義感気取りは虫唾が走りますけどね。
「お前達に教訓を与える」とか、真顔でおっしゃるのですよ?
ああ言うのを返り討ちにするのは、実に楽しいです。」
「あはっ! なりきりプレイって奴? そうなるとこっちは悪役ってとこかな…。
けど、やり合う以上は、本気でかかってきて欲しいからね…憎まれ役ってのも悪くない。
さっきの娘みたいな相手は歓迎だね…あの娘、本気でこっちを殺す気で来てた!
そうなると、次の相手はなかなか楽しそうだねぇ…。」
「ミウラって人は…大剣使いのブレイドマスター…強豪ですわ。
装甲車並みの重防御だから、対機甲装備が必要です…今の装備だとちょっと…。
それともう二人…一人はやたら動きが良いですね…。
先輩…申し訳ありませんけど…3分程時間稼いでもらえます? 弾薬とシールドを転送。
それに、ミウラが居るとなるとPKKギルドの増援が予想されますので、こちらも皆を集めます。」
「ありゃりゃ…二人だけで狩るんじゃなかったの?」
「その予定だったんですけどね…あの人達ってすぐに仲間呼ぶし…。
あっという間に50人とかかき集めちゃうんですよね…。
先輩は、ミウラの相手をお願いします…それに、このプレッシャー…。
動きがいい奴…Sランク級かも…本気で行かないとヤバイ。」
「すっごいな…そんなのまで解っちゃうんだ! けど、硬いの相手なら、任せといて!
『浸透勁』使えば、どんなにガワが固くても抜けるから!」
「なんですか? それ…? 中国拳法でそんなのあるって聞きましたけど…。」
「杜若流空手の裏技…スイカで試したら、中身がジュースみたいになっちゃった!
ご先祖様が素手で鎧武者とか倒すのに使ってたらしいんだけど…発勁とかそう言うの?
じっちゃんから、型だけ教わって、試しにやってみたら出来ちゃった!
人に使うのは厳禁って言われてたけど…ゲームなら大丈夫だよね? と言うか出来るのかな…。」
「リアルで出来る技なら、こっちでも出来る…と思います。
実際、触れるだけで相手を吹っ飛ばす技の使い手…見た事がありますからね。
けど…それ、わたくしには使わないでくださいね…。」
カーヤがジト目で睨むとレッドも思わず、苦笑する。
「やんない、やんない…さて、来たよ!」
そう言って、レッドは身構える。
木々の間から、2m近い巨大な大剣を構えた黒い鎧の大男…アルデバランモードのミウラが現れる。
こじろうとカナは…少し離れた後方で狙撃体制で待機中。
カーヤもレッドも匿名機能は使ってないので、カーヤの名とその姿を見たミウラが凍りつく。
「冗談…よりにもよって、カーヤが相手だなんて…こりゃ、モンドくん達じゃ歯が立たない訳だわ…。」
思わず、ミウラが素で毒づく。
「カーヤ? 誰それ…ミウラさんの知り合いなの?」
無線越しにカナがそう問い返す。
「知ってるも何もPKKの間では超有名人…「金銀妖瞳の魔女」とか「白い虐殺者」なんて呼ばれてる。
PKギルド「ウロボロス」の大ボス…最強ストーミーガンナーって言われてるSランクプレイヤーよ…。
公式ランク戦とかには出てこないんだけど、ランカー狩りとか言って、Sランクですら何人もやられてる。
はっきり言って、私でも勝てるかどうか怪しい…随分前に引退したって話だったのに…。
もう一人は知らない…ウロボロスのメンバーみたいだから、PK仲間ってとこだと思うんだけど…。」
「俺もそいつの名を聞いたことあるぜ…現役自衛官チーム「旭日」と米軍海兵隊チーム「FREEDOM」の対戦中にたった一人で乱入して、全員蹴散らしたって噂だ…。
連中、コブラや16式とかまで引っ張り出したのにそれも全滅…冗談みたいな奴だ…ヤベェな。」
「うへぇ…さすがSランクってとこね…けど、わたしだって負けてないよ!
ミウラさん…そのカーヤってのは、わたしが牽制するから、敵の片割れの足止めをお願い。
…こじろうは隙があれば、即座に撃っちゃって!
どっちか落とせば、あとは三人がかりで袋叩きにすれば、なんとかなる!」
「解ったわ…いや…解ったぜ!
どのみち、仲間をやられて黙って引き下がる訳にはいかねぇよな…。
よし…気合い入れるぜ…絶対、負けねぇっ!」
一瞬、弱気になりかけたミウラも、カナの言葉に萎えかけた気力を取り戻す。
口調も自然に戦闘モード…アルデバラン風の口調になる。
強敵だろうがこの二人は、明確な敵…出くわした以上、やるしかなかった。
「あらあら…今更、お仲間同士でご相談?
わたくしもあなたの事は存じ上げてますよ…十剣豪のミウラさん。
けど、あなたのお相手はこの「R.E.D」さんがお相手します…彼女、初心者ですけど…。
リアルで武道の達人なので、かなり強いですよ…。
レッドさん…がんばってくださいね。」
「おっけ! 要はこいつをぶっ飛ばせばいいんでしょ! 任せといて!」
「はっ! 随分余裕だな…リアルで武道やってる奴は確かに素で強えけど、所詮スポーツ武道なんだろ?
言っとくが、こいつは実戦とほとんど変わりねぇ…そんなお遊びとは訳が違うからなっ!」
「ちっちっち…能書きは無用って奴だね。
けど、あんた相手なら本気の殺し合いってやつをやれそうだ!」
それだけ言うと、レッドがミウラに向かって突撃する。
「やれるもんなら、やってみろ! 喰らえっ!!」
ミウラもすかさず、裂帛の気合と共に大剣を振り下ろす!
けれど、その一撃をレッドはギリギリまで引きつけた上で回避し、カウンターで回し蹴りを放つ!
ミウラもその蹴りを左腕で軽くいなすと、返す刀で片手で大剣を逆袈裟で振り上げる!
だが、バシンと言う音と共に、またしても大剣の軌道が逸れる。
「ひゅーっ! おっかなっ! けど、そんな大物での大振り、当たんないよ!」
剣の側面を拳で叩いて、逸らす…簡単に出来るような真似ではなかったが、レッドはそれを容易くこなした。
「うそだろっ! 今のタイミングで避ける? Eランブレイドとか言って、詐欺だろっ!」
「そう言われてもねぇ…ほら、ボディががら空きだよっ!」
そう言って、レッドは正面からの三連蹴りを放つ!
けれど、ミウラはその全てを喰らいながらも、何ら痛痒を感じた様子も見せない。
「はっ! そんな蹴りなんぞで、俺の装甲は抜けねぇぜ! 剣が駄目なら、こいつでどうだ!」
そう言って、ミウラはデザートイーグルを瞬時に抜くと、片手で.50AEをぶっ放す!
ほぼゼロ距離の近接射撃ッ! さすがにこの一撃は避けきれず、レッドの左肩に弾痕エフェクトが表示され、大きくのけぞるとその左腕がだらりと下がる!
「ちっくしょっ! いいのもらっちゃったっ! けど、まだっ!」
「おいおい…今の胸のど真ん中に風穴開けるつもりだったんだぜ! ゼロ距離射撃すら避けるのかよっ!
どういう反射神経してんだよっ! てめぇ! けど、これで勝負アリだな!」
ミウラのデザートイーグルがレッドの額に突きつけられる!
こっちは、なんかあんまパッとしないみたいなんで、週間更新ペースにします。
まぁ、しょうが無いよねー。
さて、ミウラVSアオイちゃんのバトルです。
アオイちゃんも大概チートです。




