第十二話「猛襲! ウロボロス!」②
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第十二話「猛襲! ウロボロス!」②
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そして、それはやって来た!
音も無く木々の間からすっ飛んで来たそれは、紅い砲弾のように見えた。
宙を舞いながら同時にマシンガン…PP-19 Bizonの弾丸をばら撒く。
正面にいたツナデちゃんが斜め上からの銃撃にあっ言う間に撃たれて倒れる!
更に着地と同時に、コチラと雛乃達のところへも銃撃っ!
Bizonを構えた…金色の龍の絵柄の入った紅いチャイナ服。
赤い髪を黒いリボンでまとめたポニーテール…女の子に見えるけど、背が高い…180近くありそうだ。
けど、その顔は顔の半分以上を覆った黒いバイザーのような物に覆われて窺い知ることは出来なかった。
なんだっけ…格ゲーのキャラでこんなの見たんだけど…。
ただ、ひと目で解った事がある。
この敵は恐らく、とんでもなく強い。
当然、こっちも反撃で、Five seveNを連射しているのだけど、当たる感じが全くしない。
もちろん、ちゃんと狙っているのだけど…弾が避けていくような感じで一発も命中しない!
この感じ…加奈子さんとかが弾を避ける時とそっくりだった。
相手プレイヤー情報は…Eランク、ブレイド? 名前は…「R.E.D」?
(ガンナー系だと思ったのに全然違う…しかも、武装はBizonだけ? 何だこいつ!)
こちらの弾を避けながら、手にしたBizonが火を噴く。
サブマシンガンと拳銃では、勝負にならない…完全に制圧されてしまい反撃もままならない…。
けれど、ガキンガキンと言う金属音と共に唐突に銃撃が止む。
見るとミーナちゃんが、「R.E.D」にエクステンションで延伸したトマホークで斬りかかるところだった。
「R.E.D」はガントレットみたいなのを着けていて、素手でトマホークを受け止め払いのける。
そして、すかさず、回し蹴り! ミーナちゃんはその雷光のような蹴りをトマホークの柄で受け止める。
更に軸足と蹴り足を交互に切り替えながらの蹴りの連打。
キレのある見事なまでの蹴り…それはまさに武道の達人の技!
(この敵…インファイトタイプ? それも素手で戦う武道家? だよな…どうみても。
最初の銃撃はこいつじゃない…けど、気配は他にいない…どうなってるんだ?)
ミーナちゃんはその嵐のような蹴りの連打を全て捌き切る!
打撃を受け止めるのではなく…いなし、逸らす…風にそよぐ葦の如くの受けだった。
ミーナちゃんも、こんなの相手に凌ぎ切るなんて半端じゃない!
「へぇ…今のを受けきるなんて、君スゴいね! 本日一番の強敵って感じかなっ!
こんなのがゴロゴロいるなんて、こりゃいいや…。」
「R.E.D」が初めて口を開くとそんな風に感心した声をあげる。
この声…思い出した…3D格ゲーのファイティングストリートⅩの人気キャラ「紅麗」だ!
PKって、無個性な装備の奴が多いんだけど…コスプレアバターなんて使ってるのもいるのか…。
「初心者だからって、舐めないでくださいね…。
けど、挨拶も無しに問答無用で襲い掛かってくるとか…随分無礼な人達なんですね…。」
「このゲーム、戦争ゲームなんでしょ?
これから君たちを攻撃しまーすなんて、挨拶して戦争する馬鹿なんていないよ。
それより…キミ、武術でもやってる?
その受けの巧みさ…武器戦闘…剣道じゃないし、「なぎなた」か何かかな…でも、ちょっと違うな。
どっちにせよ…その身のこなし只者じゃない…。
なら、今の応酬が挨拶代わりって事で…武人に言葉は不要、拳こそが言葉なりってね! さぁ、存分に語ろっか!」
ミーナちゃんもその言葉に応えるように、トマホークを足元目掛けて、連続で突き出す!
けど、「R.E.D」は踊るようなバックステップで器用に回避すると、トマホークが地面を突いた瞬間に逆に踏み込んで、その突きを踏みつける事で止め、すかさず回し蹴り!
けれど、ミーナちゃんは膝を折り、その蹴りを避けながら深めの屈伸のような姿勢を取ると、そのままぐるりと片足を地面すれすれの軌道で回転させる。
足払い…狙いは回し蹴りを空振った「R.E.D」の軸足!
スパンッと言うような軽い打撃音のあと、軸足を払われた「R.E.D」はバランスを崩して後ろ向きに倒れ込みそうになるも…片手を着いて軽々と連続バク転で距離を離す! あの長身でなんて身のこなしっ!
けれど、次の瞬間にはミーナちゃんもトマホークを突き出すような構えを見せて、突撃する!
チャージアタックってやつだ! 一見工夫のない攻撃方法なのだけど…意外とあれを止めるのは難しい!
それを見た「R.E.D」は大きく更に後方へジャンプすると、Bizonを構える。
「ごめんね…白兵戦って言っても、こう言うのもアリなんだ…この勝負…楽しかったよ! バイバイ!」
ミーナちゃんも、銃を向けられたのに気付いてトマホークを正面に構え直したのだけど…。
至近距離でのサブマシンの銃弾を全て叩き落とすなんて真似はさすがに出来なかったようで、次々とその身体中に着弾エフェクトが表示され、ミーナちゃんが膝を付き倒れる。
卑怯…とは言えない。
チャージアタックは、剣とか槍相手には有効なのだろうけど…銃相手には無謀だった…。
距離を開けられたら、すかさず、銃撃戦に移行すべきだったのだ…。
やっぱり、ガンフロでの経験の浅さが裏目に出ちゃったか…。
けど、目の前で知り合いがやられて、黙ってみてられない…敵を討つとばかりに、Five seveNを撃ちまくる!
けど…背中に目が付いてるように、上体をひねって回避される。
「おっと…メディックさんなのに、撃ってくるんだ…「雉も鳴かずば撃たれまい」って言葉知ってる?
カーヤちゃん! そいつら、もう撃っちゃっていいよっ!」
「R.E.D」の声と共にすぐ背後で銃声…振り向くと後ろにいたリンゴちゃんが力なく突っ伏す所だった…。
そして…ショートバレルのリボルバー…スーパーレッドホークアラスカンを持った黒いバイザーで顔を隠した白っぽい人影…がその無骨な拳銃を突きつける。
(嘘だろ? 気配なんて感じなかった!)
銃を構え直す暇もなく銃声と共にブラックアウト。
「転ロリ」読者様が、こちらも読まれていただいているケースがどうも多いようなので、こちらも一週間ぶりに更新。
作者側も自己満足で続けるには、モチベーションの限界ってもんがありますからね。
けど、読んでくれてブクマとか付けてくれる人がいるなら、やっぱその気になります。
こっちでも、R.E.Dさん登場ですね。
まぁ、正体はあの人なんですけど。
そんなのと互角の勝負を繰り広げたミーナちゃん、影の猛者だったりします。
そして、モンドくんはいつも通り、ブラックアウト。(笑)




